会見リポート
2017年09月29日
10:30 〜 11:30
10階ホール
フィッツジェラルド アイルランド副首相 会見
会見メモ
「英国のEU離脱はアイルランドにとってチャンス」。英語を母語とし、同じような法体系を持ち経済が安定している同国への関心が高まっていると言う。大筋合意した日EUのEPAで「日本からの輸出の7割で関税が下がる。農産品、医薬品などが伸びるのでは」。
司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)
通訳 宇尾眞理子 サイマル・インターナショナル
会見リポート
英国のEU離脱で関心高まる
木寺もも子 (日本経済新聞 国際アジア部記者)
アイルランドと日本は今年で国交を結んで60年になるという。英独仏などと比べればなじみは薄いかもしれない。2010年には債務危機で話題になったが、経済の再建に成功。最近では、隣国の英国が欧州連合(EU)からの離脱(Brexit)を決めたことで注目が高まっている。
来日中、多くの日本企業経営者と面会したというフィッツジェラルド副首相は「日本企業はBrexitによってアイルランドに関心を持ち、影響について多くの質問を受けた」と明かした。英国の離脱で、EU圏内で英語を公用語とする国はマルタとアイルランドのみになる。その上、慣習法を採用していることや労働慣行などが英国と似ているといい、英国に代わる欧州の拠点を検討する日本企業を積極的に誘致する意欲を見せた。
アイルランドは、12.5%という世界的に低水準の法人税率でも知られる。首都ダブリンには、グーグルやフェイスブックといった多国籍企業の欧州本社などの拠点が集まる。ちょうどトランプ米大統領が35%の連邦法人税率を20%に引き下げる案を発表したばかりで、法人税率を巡る質問も出たが、「米企業はいずれにせよ海外拠点を求めている」「多くの国では実際に交渉する段階になるともっと多くの税を払うことになるが、アイルランドはきっぱり12.5%だ」などと述べ、自国の競争力に自信を示した。
また、会見では話題にならなかったが、フィッツジェラルド氏をはじめとする訪問団一行が全て女性で占められていたのが印象的だった。世界経済フォーラムが毎年発表する「世界ジェンダー・ギャップ・リポート」によると、2016年のアイルランドは男女の平等度で6位だった。会見中、専門的な話に及ぶとフィッツジェラルド氏に代わる専門家が説明に立ったが、それも全て女性。111位の日本にとっては学ぶべき点が多そうだった。
ゲスト / Guest
-
フランセス・フィッツジェラルド / Frances Fitzgerald
副首相兼企業・イノベーション大臣 / Tánaiste and Minister for Business, Enterprise and Innovation