会見リポート
2017年09月26日
12:00 〜 13:30
10階ホール
程永華 駐日中国大使 昼食会
会見メモ
日中国交正常化45周年(9/29)を前に程永華駐日中国大使が会見した。
司会 西村陽一 日本記者クラブ企画委員長(朝日新聞)/坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)
会見リポート
日中両国に必要なのは信頼と協力
加藤 青延 (日本放送協会解説委員)
「『日本記者クラブには、また参りました』というような懐かしい気持ちになりました」
開口一番そう切り出した程永華大使は、日本に赴任してまもなく8年という歴代中国大使の日本駐在記録を更新中だ。日本記者クラブでの会見も、破格の4回目となった。
会見では、まず赴任以来の日中関係を振り返り、経済や社会、人的交流などの面で多くのプラスの変化が起きたことを列挙した。また中国が提唱する「一帯一路」構想での日中協力の発展に期待感を示した。
その一方で、両国関係が「領土問題、歴史問題、海洋問題」など多くの困難に直面したとも語り「両国間に必要なのは信頼と協力であって、猜疑と対決ではない」と強調した。
会見を聞いて感じたのは、程大使が日本側を批判することを最小限に抑えたように思えたことだ。
むしろ発言の中には「双方が」や「互いに」など両国の立場を共に尊重する言葉が多かった。「日中関係を重視する中国の政策は変わらない」と訴えたことも印象的だった。
批判らしき部分を強いて挙げるなら「一部の人は、なお古い冷戦思考で中国に対処し、中国をどう牽制し、どう防ぎ止めるかということを常に考えているように思う」と触れたあたりだが、日本の「一部の人」への苦言という形にとどめた。
尖閣諸島をめぐる中国公船の動きなど鋭い質問も出たが、程大使はあえて「釣魚島」という中国側の呼称は使わず「島」とだけ表現するにとどめ、事を荒立てることを避けたように感じた。
もちろん、それは日本のメディアを前にした外交辞令かもしれないが、日中国交正常化45周年という節目を迎える中、「半生深く関わってきた日中関係を大切にしたい」という程大使自身の率直な気持ちも込められていたのではないか。
ゲスト / Guest
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程永華 / Cheng Yonghua
駐日大使 / Ambassador to Japan