2017年09月25日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「北朝鮮の核とミサイル」(8) 阪田恭代 神田外語大学教授

会見メモ

神田外語大学の阪田恭代教授が北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる状況について整理し、日米韓協力のあり方について話した。

 

司会 山本勇二 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)

 


会見リポート

「北風と太陽」の戦略で対応を

安尾 芳典 (共同通信社客員論説委員)

 北朝鮮の核・ミサイルをめぐり対立が激化する米朝。米国は軍事攻撃に出るのか対話に転じるのか。気鋭の国際政治学者は、軍事攻撃も対話もせず、圧力をかけ続けることになるとみる。

 

 これに北朝鮮がどこまで耐えられるかが問題となるだろう、という。だが北朝鮮は以前よりかなり耐久力があるとも指摘する。

 

 韓国の延世大学や米ジョージ・ワシントン大学で客員研究員を務め、朝鮮半島の国際政治と安全保障の両分野を専門とする。このため安全保障の面では「厳しくばっさり」とした分析が必要だが、国際政治の観点からは「(北朝鮮の核・ミサイル問題で)何かいい知恵がないか」と考えており、2つの視線が交差している中で、答えはないという。

 

 北朝鮮は7月から9月にかけて、大陸間弾道ミサイル(ICBM)や、日本の上空を通過する中距離弾道ミサイルをそれぞれ2回発射し、さらに水爆実験を実施した。こうした北朝鮮の核・ミサイルの危機は今、沸点に達しているようにも思えるが、「これまでの危機は70~80パーセント程度で、来年もさらに続くだろう」とみている。

 

 問題は核弾頭搭載のICBMの完成で、建国70周年を迎える来年9月9日か朝鮮労働党創立記念日の10月10日には核戦力の完成を宣言するだろうと予測する。

 

 北朝鮮が米国など国際社会の圧力で対話に応じるか。北朝鮮では金日成主席、金正日総書記、そして金正恩朝鮮労働党委員長の3代にわたり、核・ミサイル開発を続けてきた。金正恩氏は、核保有国の地位確立を目指し、自らの政権の正当性を図っていることから、金正恩氏がICBMの完成までは対話に応じる可能性は低いとみている。

 

 結局、北朝鮮への対応には「北風と太陽」のような硬軟両面の戦略が求められるが、今、最も重要なのは危機管理だと指摘する。

 


ゲスト / Guest

  • 阪田恭代 / Yasuyo Sakata

    日本 / Japan

    神田外語大学教授 / Professor, Kanda University of International Studies

研究テーマ:北朝鮮の核とミサイル

研究会回数:8

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