2017年09月05日 14:00 〜 15:30 9階会見場
「米国の調査報道」 ハディックスIRE事務局長

会見メモ

調査報道記者・編集者協会(IRE)は、調査報道を支援する米国のNPO組織。ハディックス事務局長は、トランプ時代の報道について「大統領のツイッターより、彼の行動をきちんと報道すべき」「メディア攻撃に対し、米国のジャーナリストの間でSOLIDARITY(団結)が重要視されるようになった」と語った。さらに「調査報道を目的としてNGOが全米で100以上も誕生、今後、メディアとの競争、協力が進んでいくと思う」と新しい状況を指摘した。

 

司会 奥山俊宏(朝日新聞)

通訳 宇尾眞理子(サイマル・インターナショナル)

IRE HP


会見リポート

リアルニュースに集中を

 トランプ米大統領の就任以来、米メディアはフェイクニュース(偽のニュース)という批判や政治権力による圧力といった事態に翻弄されている。その渦中にある米調査報道記者・編集者協会(IRE)のダグ・ハディックス事務局長は「とにかくリアルニュース(真実のニュース)に集中することが重要」などと語った。「一強多弱」といわれる政治状況の中、同様の課題を抱える日本の報道現場にも示唆に富む会見だった。

 

 IREは調査報道を支援する米国のNPOで、1975年に設立された。世界から5500人のジャーナリストや学者、学生らが参加。研修会などを通じ、データを駆使した取材方法やソーシャルメディアの活用法など実践的なノウハウを、記者が講師となって伝授している。

 

 米国の新聞業界は10年前に比べ規模やスタッフが半減し、ニューヨーク・タイムズなど主要紙だけが成長している。そんな厳しい環境下でも新聞、テレビ界は「権力を監視し、アカウンタビリティー(説明責任)を重視した調査報道の価値を再発見しているさなかにある」と指摘した。

 

 ツイッターによる発信やメディアを敵視するトランプ大統領に報道がどう向き合うかについては、2つの方向性を示した。1つは大統領が何を発信したかではなく、具体的な行動を報道すること。そして2つ目は、報道の自由の抑制には徹底して戦うことだ。そのためには、メディアの連帯が重要と訴え、「米では1人のジャーナリストに対する攻撃は全てのジャーナリズムへの攻撃との認識が高まっている。連帯は100パーセントではないかもしれないが、希望を感じる」と強調した。

 

 会見では、最近の優れた調査報道の事例も映像を交えて紹介。全米で100以上のNGOが発足し、地方都市では地方紙との新たな競争が起きる一方で、連携する動きも出るなど調査報道の可能性が報告された。

 


神戸新聞社東京支社長  村上 早百合

ゲスト / Guest

  • ダグ・ハディックス / Doug Haddix

    アメリカ / USA

    米調査報道記者・編集者協会事務局長 / Executive Director, Investigative Reporters and Editors Inc.IRE

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