2017年08月01日 16:30 〜 17:30 9階会見場
ケビン・デリオン 米カリフォルニア州上院議長

会見メモ

トランプ政権がパリ協定離脱を表明する中、カリフォルニア州は地球温暖化政策で独自路線をとる。民主党知事が率い、上下両院議席の過半数を民主党が占める。デリオン氏はヒスパニック系初の上院議長。

 

司会 井田徹治(共同通信編集委員)

通訳 西村好美(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

「トランプ政権でも温暖化対策進める」

井田 徹治 (共同通信社編集委員)

トランプ米大統領によるパリ協定からの離脱宣言などで、国際的な地球温暖化対策の在り方が議論になっている。その中で注目を浴びているのが米カリフォルニア州の取り組みだ。このほど企業の排出量に上限を課し、排出枠の取引を認める「キャップ・アンド・トレード制度」を2030年まで延長するなどの新たな法律をまとめた。同僚議員らとともに来日したケビン・デリオン同州上院議長は、その旗振り役の一人だ。

 

会見では30年までに1990年比で温室効果ガスの排出量を40%減らすことや再生可能エネルギーの100%導入など、同州の野心的な目標を紹介し「トランプ政権がやろうがやるまいが、温暖化対策を進め、この分野で世界のリーダーとなる」と宣言した。

 

米国の州の1つとはいえ、各国と比較すればその国内総生産(GDP)は世界第6位、フランス一国に匹敵するのだから、その動向は世界に影響を与える。気候変動枠組み条約の中でも、国の政府とは別の、州政府や地方自治体の取り組みの重要性が指摘されている。

 

議長は、次の手段として、電気自動車(EV)の拡大など「自動車の脱炭素化」を進めるための新たな方策を検討していることも明らかにした。巨大な自動車市場を抱える同州の動きからは、日本企業も目が離せないだろう。

 

議長は「経済成長が続く一方で、二酸化炭素の排出は減り、カリフォルニアは両者のデカップリング(切り離し)に成功した」と強調する。州内に本社を置くテスラ社のEVなどを例に「強力な温暖化対策を進めることが企業のイノベーションにつながるし、雇用の拡大にもつながる」との議長の指摘は、キャップ・アンド・トレード制度の導入や炭素税の拡大など強力な温暖化対策に否定的な日本企業の経営者の耳に、どう響くだろうか。


ゲスト / Guest

  • ケビン・デリオン / Kevin de Leon

    アメリカ / USA

    米カリフォルニア州上院議長 / Leader of the California State Senate

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