2017年10月13日 12:00 〜 14:00 10階ホール
ローラン・ピック 駐日フランス大使 昼食会

会見メモ

6月に着任したフランスのローラン・ピック 大使が会見した。EUフランス政府代表部での勤務や欧州問題事務総局副局長を務めるなど、欧州問題を長年担当した。53歳。

 

司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 三宅薫子(フランス大使館)


会見リポート

日仏関係の重みを理路整然と

鶴原徹也 (企画委員 読売新聞社編集委員)

 

 飾らない人柄の仕事師―。着任4カ月のピック大使の印象だ。その語り口は韻文的ではなく散文的だ。昼食会で、マクロン仏政権の日本へのメッセージを理路整然と伝えた。

 

 そのメッセージを我流に翻訳すれば、こんな内容になる。

 

 1.北朝鮮の核・ミサイル問題やテロ、地球温暖化など、今日われわれが直面している問題は、ひとつの国ではなく、国々が協力、連帯しなければ対処できない。

 

 2.ところが、トランプ米政権は自由貿易や温暖化対策などの国際的枠組みを否定し、一国主義に傾いている。パリに本部のあるユネスコを脱退するというのも一例だ。

 

 3.世界を秩序立てて運営するには、国際協力体制・多国間主義を守り抜く必要がある。その先頭に立つべきはフランスであり、欧州であり、日本である。

 

 4.従って、日仏・日欧は関係をさらに強化すべきだ。2018年は日仏修好通商条約調印160年にあたり、2019年は日本がG20、フランスがG7の議長を務める。日仏協力が重要になる。

 

 5.米国については、国際的枠組みに復帰するよう、促し続ける必要があろう。

 

 こうしたピック大使の説法が一段落した時、会場から質問が出る(これも我流の引用になる)。

 

 「ところで、お国のマクロン政権は大丈夫ですか? 支持率が急落してますが」

 

 ピック大使の回答を一言で要約すれば、「大丈夫です」。

 

 なぜなら、支持率の多寡は政権能力の優劣と一致しない。マクロン政権は公約通り、労働市場改革に着手した。国民の多くは身を切る改革の必要性を認めている。フランスの政治制度は安定しており、時間は稼げる。後は成長率の好転と高失業の解消を待つばかりだ――。

 

 ピック大使は、ほほ笑んだ。

 


ゲスト / Guest

  • ローラン・ピック / Laurent Pic

    フランス / France

    駐日フランス大使 / Ambassador of the French Republic to Japan

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