会見リポート
2017年07月20日
09:45 〜 10:45
10階ホール
グアハルド メキシコ経済相 会見
会見メモ
2012年のペニャニエト政権発足から経済相を務めている。北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉や米国抜きのTPP協議などについて語った。
司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBSテレビ)
通訳 大野理恵(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
関係強化の余地大
田中 健吾 (時事通信社外国経済部)
貿易立国の日本にとって、自由貿易は国益のかかる重要な原則だ。だが、保護主義的な政策を進めるトランプ米大統領が就任して、この原則が揺さぶられている。そんな折、来日したメキシコの通商責任者グアハルド経済相は「国境を開いたまま、いかにして自由な貿易を維持するか考える」と表明。日本とメキシコは自由貿易で利害が一致しており、両国の協力関係を強化する余地は大きいと思わせる会見だった。
米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)。一部の国からは米国抜きのTPPには経済的なうまみは少ないと消極的な意見もある。だが、「アジアとの自由貿易圏をつくる際の橋渡し」と意義を強調。日本と同じく、米抜きTPPを推進する立場を鮮明にした。
会見では、メキシコが米国、カナダと結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉にも質問が集中した。米国は、貿易相手国の通貨安誘導を阻止する「為替条項」の導入や貿易赤字の削減を目標に掲げるが、「わが国は変動相場制。(為替を)操作できない」とけん制。一方、「貿易を制限する方向ではなく拡大する方向であれば、貿易再均衡の協議があると(米国に)伝えてある」と柔軟な姿勢も見せた。
工場を持つなどメキシコに進出した日系企業は1000社を超える。NAFTA再交渉の結果、メリットなしと判断すれば、撤退することになりかねない。来日中は経団連で経済セミナーを行い、産業界と積極的に意見を交換。「生産性の高い話し合いができた」と、口ぶりからは一定の手ごたえはあったようだ。
会見の最後には、日本代表FW本田圭佑選手がメキシコのサッカー1部リーグ、「パチューカ」に移籍したことにも質問が及んだ。「ライバルチームを応援することはできない」「私の応援するチームに引っ張る可能性があるかもしれない」と冗談交じりに語り、気さくな人柄をのぞかせた。
ゲスト / Guest
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イルデフォンソ・グアハルド・ビジャレアル / Ildefonso Guajardo Villarreal
経済相 / Secretary of Economy