2017年08月07日 16:15 〜 17:45 会見場
「気仙沼市の復興と黒潮町の南海トラフ対策」今川悟 宮城県気仙沼市議会議員

会見メモ

宮城県気仙沼市と高知県黒潮町の防災交流

元三陸新報記者。東日本震災後、市議会議員となり気仙沼の復興へ向けて奔走する。ウェブサイトで「復興レポート」を毎月発表するなど全国への発信にも力を入れている。防潮堤建設問題を中心に、東日本大震災から6年半を迎える気仙沼の現状と課題を語った。第20回日本記者クラブ記者研修会プログラムの一環として登壇した。

 

司会 上田俊英 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞)

 

*南海トラフ地震で巨大津波が襲うと予測される黒潮町の大西勝也町長と防災交流について対談する予定だったが、大西氏が台風5号対応のため欠席に。今川氏単独の会見となった。

会見詳録


会見リポート

復興めぐる合意の難しさ

東日本大震災から6年半。風化と、どう向き合うか。復興道半ば、といかに全国へ発信していくか。被災地に身を置く記者にとって、尽きない悩みだ。

 

毎年3月11日が近づいたときだけ大量の震災記事があふれる現状に、市民のみならず、メディアの関心の低下が危ぶまれる。そんななか、各地の記者が集まる場で、復興政策の一翼を担う今川悟・気仙沼市議が現状を伝えた意義は大きかった。

 

復興まちづくりの基本政策は、沿岸に堤をつくり、そばの住宅を高台に移し、跡地に工場などを誘致する、というものだ。気仙沼で住宅再建が必要とされたのは約8千世帯。災害公営住宅整備は完了する一方、再建先の土地区画整理が終わらず見切りをつけ市外に転居するなどした人も多い。

 

中でも、「津波から命を守る」というスローガンの下に整備が進む長大な防潮堤は、住民の反対が根強い。海と暮らしてきた人たちにとって、10メートル超の壁が眺望を損なうことへの抵抗感は大きいからだ。気仙沼市の防潮堤事業費は約2200億円。被災3県で最も多い。

 

住民説明会に1千回近く足を運んだ今川氏。中でも、「神山川」という河川の津波堤防対策工事の事例を挙げた。いま堤防には約60本の桜が並ぶが、県はこれらを伐採し、かさ上げしたうえでコンクリートで覆う計画を立てた。今川氏は、反対運動の中心となって約5千人の署名を集めた。

 

結果的に、17本を残すことが決まった。ただ、住民の中には津波を心配して計画通りの整備を望む声もあった。防災か、景観か。地元は揺れた。今川氏は、こう指摘した。「住民が1人でも防潮堤を欲しがれば、行政はつくる。全員が反対しなければ止められない」。合意を得る難しさに立ち止まりながら、復興は進んでいる――。そういった一面が少しでも伝わることを願う。


朝日新聞社仙台総局 桑原 紀彦

ゲスト / Guest

  • 今川悟 / Satoru Imakawa

    日本 / Japan

    気仙沼市議会議員 / City council member, Kesennuma City

研究テーマ:宮城県気仙沼市と高知県黒潮町の防災交流

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