2017年06月28日 15:00 〜 16:00 10階ホール
塩崎恭久 厚労相 会見

会見メモ

司会 竹田忠 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

超高齢社会どう乗り切る

須佐美文孝 ( 共同通信社生活報道部長)

日本の抱える「2025年問題」は、社会保障に携わる人以外にも広く知られるようになってきた。団塊の世代すべてが75歳以上となり、全人口の5人に1人を占める。65歳以上まで含めると3人に1人に近づく。人類がかつて経験したことのない「超々高齢社会」が到来する。塩崎恭久厚生労働相は海外で会議に出席するたびに、高齢化をテーマにした講演を求められるという。「日本がこの高齢社会をどう乗り切るかに、世界は注目している。いまの仕組みのままではうまくいかない。新しい成功モデルを示したい」と意気込む。

 

そのための処方箋を、塩崎氏は6月28日の会見で医療・介護の分野を中心に示した。自治体や医薬品の開発現場で医師免許を持った人材が不足しているとして「医師をもっと増やすべきだ」と訴えた。医療・介護分野の計画を取りまとめる都道府県には、地元の医師会などと協議する専門職が必要だと指摘。製薬会社でも海外と比べて医師が少ないことに言及し「行政、国際機関、研究開発など必要としている分野はいっぱいある。医師養成はもっとやれと言っている」と理由を説明した。

 

一方、大学医学部の定員は増員が続き、将来的には医師数が過剰になるとの推計もある。これに関し塩崎氏は「臨床医がそんなに必要かどうかは別(の問題)だ」とやや歯切れが悪かった。介護分野では5月に成立した改正介護保険関連法などを踏まえ「自立と重度化防止をどうするかが大事」と強調した。

 

現状の不備をなんとか解消しようとする意欲は伝わってきた。ただ政治家に求められるのは、より大きな制度設計だろう。社会保障財源をどう裏付けるかの考えをもっと聞きたかった。安倍政権は消費税率10%への引き上げを2度にわたって先送りしている。痛みを伴う施策であっても国民に理解を求めて実行に移す決意なしに、世界に手本を示すのは難しい。


ゲスト / Guest

  • 塩崎恭久 / Yasuhisa Shiozaki

    日本 / Japan

    厚労相 / Minister of Health, Labour and Welfare

研究テーマ:「2025年ショック どうする医療・介護」

研究会回数:1

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