2017年05月26日 13:00 〜 14:30 10階ホール
「組織犯罪処罰法改正案について」(1) 葛野尋之 一橋大学教授

会見メモ

組織犯罪処罰法改正案について (1)

「包括的な共謀罪は、処罰の膨張、捜査権乱用、少数意見の圧迫などを招く」として反対を表明。「テロ資金提供処罰法改正でテロ準備行為は処罰可能、早期処罰規定も予備罪など72もあり現行法で対応できる」。「自由な社会が失われる」と警鐘を鳴らした。

 

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

少数意見、大切にしているか

「もういいでしょう。30時間以上だ」と、多数派に付いた議員が採決を促した。いわゆる「共謀罪」法案は5月19日、衆院法務委員会で可決。その4日後、本会議を通過した。次は参院。そんなタイミングで、会見は開かれた。法案に反対する立場から、改めて、共謀罪の危険な本質を指摘する内容だった。

 

金田勝年法相が野党の質問にうまく答えられず、法務省の林真琴刑事局長ばかりが目立った審議。マスメディアの世論調査では、次第に反対意見が増える結果になっていた。

 

政府のいら立ちも透けて見えた。国連のプライバシー権に関する特別報告者が法案に懸念を示すと、すぐさま抗議。葛野氏は「本質的な問題に正面から丁寧な言葉で答える必要がある」と説明を求めた。

 

衆院通過の約10時間前、英マンチェスターのコンサート会場で自爆テロがあり、8歳の少女も亡くなった。新聞のあどけない笑顔に胸が詰まる。日本でもテロが起きる可能性は否定できない。共謀罪でテロを防げるのなら…。でも、本当にテロ対策なのか…。

 

捜査共助や逃亡犯罪人引き渡しをスムーズにする条約を結ぶため、本当に277もの罪を対象とする共謀罪が必要なのか。捜査機関の乱用の恐れがあるのでは。論点は山積みだ。

 

葛野氏は、共謀罪が自由な考えや表現の萎縮を招くと危ぶむ。計画段階を処罰するので「捜査、監視されるかもしれない」と不安になり、「自由な民主的社会の基盤を切り崩す」と警鐘を鳴らす。

 

強調したのは「萎縮効果は少数意見の側に立つ人たちにひときわ強く表れる」という点だ。多数派がいつも正しいとは限らない。「少数意見や反対意見を大切にし、尊重し合うことこそが大事」。会見の結びの言葉に、問題の本質が見えた気がした。


東京新聞社会部 土門 哲雄

ゲスト / Guest

  • 葛野尋之 / Hiroyuki Kuzuno

    日本 / Japan

    一橋大学教授 / Prof., Hitotsubashi Univ.

研究テーマ:組織犯罪処罰法改正案について

研究会回数:1

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