2017年06月02日 14:00 〜 16:00 10階ホール
バルト3国のいま 駐日大使から聞く

会見メモ

壇上左から、エギディユス・メイルーナス駐日リトアニア大使、ノールマンス・ペンケ駐日ラトビア大使、ヤーク・レンスメント駐日エストニア大使

 

司会 鶴原徹也 日本記者クラブ企画委員(読売新聞)

通訳 宇尾真理子、秋山賛


会見リポート

対露安全保障を進めるバルト3国

三好 範英 (読売新聞社編集委員)

日本でもバルト3国の熱烈なファンがおり、近年観光客も増えてはいるが、一般的に関心はそう高くはないだろう。各大使の発言が、国土面積、人口規模など初歩的な情報で始まったのはやむを得ないか。

 

私はベルリン特派員時代に、3カ国を合わせれば20回ほど取材で行った。対露安保、ロシア系住民、歴史認識、原発、杉原千畝……かなり幅のあるテーマで取材した。日本の外交や内政のさまざまな問題を省みる上でも、3国の歴史的経験や現状は、いろいろ考えさせられるところが多い。もっと関心を持ってもよい3国であると思う。

 

質疑応答では現在、3国が直面する国際情勢がテーマになった。やはり気になるのは、クリミア併合など既存の国際秩序を無視するロシアに対する安全保障をどう図るか。

 

ペンケ・ラトビア大使は「北大西洋条約機構(NATO)のメンバーなので安全は保障されている。NATOの能力に疑いはない。われわれは安全で安定している」と明言した。ジョージアやウクライナへのロシアの軍事介入の際、必ず「次はバルト3国か」と緊張感が走ったが、NATOの集団安全保障の傘に入ったことはやはり大きいのだろう。メイルーナス・リトアニア大使も「3国にはすでに米、英、ノルウェー、ドイツなどの部隊が駐屯している。NATOの連帯はよく機能している」と補足した。

 

また石油、天然ガスの対ロシア依存も、エネルギー安保面での脆弱性を示す問題として語られるが、メイルーナス氏は、「スウェーデンとポーランドとの間をそれぞれ送電線網をつなぎ、いわば『エネルギーの橋』をかけた。もはやどんな独占的なエネルギー供給にも依存していない」と対ロシア依存脱却を進めている現状を説明した。レンスメント・エストニア大使は「ロシアも石油、ガスを販売しなければならない。われわれが一方的に依存しているわけではない」と語った。


ゲスト / Guest

  • ヤーク・レンスメント / Jaak LENSMENT,

    エストニア / Estonia

    駐日大使 / Ambassador

  • ノールマンス・ペンケ / Normans PENKE

    ラトビア / Latvia

    駐日大使 / Ambassador

  • エギディユス・メイルーナス / Egidijus MEILUNAS

    リトアニア / Lithuania

    駐日大使 / Ambassador

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