2017年05月09日 16:45 〜 17:45 10階ホール
リンケビチュウス リトアニア外相会見

会見メモ

3年ぶりに来日したリンケビチュウス外相は、二国間関係が貿易や観光面でも順調に推移していると語った。国内ビジネス環境、対ロ制裁、国防費増額、エネルギーと多岐にわたるテーマについて丁寧に説明した。

 

司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞)

通訳 宇尾真理子(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

ロシアの脅威に毅然と対応

世界を震撼させた2014年3月のロシアによるウクライナ南部クリミア半島の併合から3年以上が過ぎたが、ロシアとNATO(北大西洋条約機構)の緊張は高まっている。リトアニアは対ロ最前線に位置するバルト三国の1つだ。

 

国内総生産(GDP)の2%以上を国防費に充てる目標を18年に達成すると外相は明言した。NATOが設定した加盟国の目標値だが、実行しているのはわずか5カ国。NATOを国家存立の生命線とするリトアニアの危機意識が示された。

 

プーチン政権は巨大な軍事力や経済圧力、情報戦争などを組み合わせた、攻撃的で変幻自在な対外行動を続ける。リトアニアにとっても現実的な脅威は、地上軍の侵攻よりも「サイバー攻撃や潤沢な資金を投入して行う情報戦争などハイブリッド型の脅威だ」と指摘。とりわけロシア語メディアを通じたプロパガンダや偽情報を警戒する。

 

懸念の種は、ロシアは強硬路線を見直す気配が皆無なのに欧州連合(EU)内の一部諸国に制裁緩和の声があることだ。「ロシアに圧力をかける最大の梃子(てこ)だ。制裁緩和は、現状からの撤退で、事態を放置することだ」として対ロ融和論を批判した。リトアニア企業は制裁の影響で打撃を受けており「制裁は双方向のもの。決して喜んで科しているわけではない」と本音も明かした。

 

ロシアからの絶え間ない風圧にさらされながらも「わが国は非常に安定している。NATOとEUに加盟しており、投資や経済も非常に上向いている」と言い切った。ソ連崩壊で欧州の一員に復帰してからの発展に、強い自信がうかがえた。

 

奇しくも会見のあった5月9日はロシアにとって「大祖国戦争」と呼ばれる対独戦争勝利の記念日。モスクワの赤の広場で物々しい軍事パレードが行われ、最新兵器が披露された。大国主義に回帰したロシアとリトアニアに再び和解の日は訪れるのだろうか。


東京新聞外報部(前モスクワ支局長) 常盤 伸

ゲスト / Guest

  • リナス・リンケビチュウス / Linas Linkevicius

    リトアニア / Lithuania

    外相 / Foreign Minister

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