会見リポート
2017年04月28日
14:00 〜 15:15
10階ホール
国境なき医師団日本 会見 「病院を撃つな!」キャンペーン
会見メモ
登壇者
【第1部】左から、藤井麻衣子・セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部緊急人道支援マネージャー、畔柳奈緒・世界の医療団日本事務局長、山口薫・アムネスティ・インターナショナル日本活動部門チーフ、鈴木邦彦・日本医師会常任理事、加藤寛幸・国境なき医師団日本会長
【第2部】白川優子・看護師(国境なき医師団)
司会 石川洋 日本記者クラブ企画担当部長
会見リポート
最多の署名数に込められた思い
高橋 友佳理 (朝日新聞社GLOBE)
「MSF(国境なき医師団)は人の命に危険が及び、人道援助の原則が脅かされているときには決して沈黙しない」。加藤寛幸会長は力を込めた。2015年10月、アフガニスタンでMSFが運営する病院が米軍の攻撃を受け42人が亡くなった。その頃から各地で病院への攻撃が増えているのだという。
国連安全保障理事会は昨年5月、紛争下での医療活動への攻撃を強く非難する決議を全会一致で採択。だが、行動に移されていない。MSF日本は日本政府に行動を求める署名を呼びかけ、半年間で9万5821筆を集めた。その数は1992年の日本事務局発足以来、最多という。署名を外務省と厚生労働省に提出する直前に会見を開いた加藤会長は「病院への攻撃が当たり前になってはいけない。日本政府には決議が履行されるために必要なことを実行してほしい」と訴えた。呼びかけに賛同した日本医師会や公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本などの担当者も登壇した。
難しいのは、多くの場合攻撃が「誤爆」と主張され、意図的であることの立証が難しいことだ。会場の記者からの質問に加藤会長は「こんなに頻繁に誤爆が起こりえるでしょうか。理由が何であれ、命を落としている事実はぜひ伝えてほしい」と訴えたが、もどかしさが残った。
印象に残ったのは、病院での活動に危険が増しているにもかかわらず、海外から志願して派遣されるスタッフの数は減っていない、ということだ。
手術室看護師の白川優子さんも派遣を志願し、4度目となるイエメン赴任を終え、帰国した。イエメンは昨年だけで、支援する病院が3回攻撃を受けたという。会見後、「ご家族は心配しないですか?」とつい尋ねると、「今はもう言いません。それより、仕事内容を理解してくれている」の答え。まっすぐなまなざしと強い使命感に、聞いた自分が恥ずかしくなった。最悪の状況下に人間性をもたらすMSFの活動を、止めさせてはならない。
ゲスト / Guest
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加藤寛幸 / Hiroyuki Kato
国境なき医師団日本会長
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鈴木邦彦 / Kunihiko Suzuki
日本医師会常任理事
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山口薫 / Kaoru Yamaguchi
アムネスティ・インターナショナル日本活動部門チーフ
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畔柳奈緒 / Nao Kuroyanagi
世界の医療団日本事務局長
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藤井麻衣子 / Maiko Fujii
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン海外事業部緊急人道支援マネージャー
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白川優子 / Yuko Shirakawa
看護師(国境なき医師団)
研究テーマ:病院を撃つな キャンペーン