2017年03月15日 14:30 〜 16:00 10階ホール
著者と語る 永野健二・ジャーナリスト『バブル―日本迷走の原点―』

会見メモ

40年間、日経経済記者として市場経済を見続けてきた。なぜ今、バブルを書くのか。80年代のバブル期と現在に似た空気を感じるからだという。「異次元金融緩和に突き進むアベノミクスの動きは危ない」「バブルを知り、その教訓を生かさなければ同じ過ちをおかす」。土地高・株高のユーフォリア(熱狂)に踊った、当時の“時の人”の物語からバブルの深層に迫る。

 

司会 軽部謙介 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

現場から迫る経済バブル

書店に入る。バブル本ブームの関連書籍が並ぶ。

 

その中にドンと構えているのが永野健二さんの『バブル』だ。永野さんの本を「白バブル」、大手銀行元幹部の回顧録などを「黒バブル」と呼ぶのだそうだが、装丁の色彩に由来するだけなのだろうかと思ってしまう。

 

なぜ今バブル本が相次いで出版され、それなりに売れているのか。あの時代への郷愁なのか。それとも新たな危機のにおいがするからなのか。

 

「安倍さん(晋三首相)の故ない明るさ、のっぺりとした合理性に不安を感じているのではないか」と永野さん。本書の冒頭でも「安倍政権の発足とアベノミクスの動きは、バブルの序章である」と断言した。

 

「三菱重工CB事件」「尾上縫と日本興業銀行」など人間くさい個別の「現場」からバブルを語り、その上でこれら21のストーリーを構造の中に位置づけようと試みている。

 

「伝説の記者」と異名をとる永野さんは日本経済新聞社の証券部育ちだ。

 

市場という資本主義の心臓部でマクロ、ミクロ両面から資金の流れを取材することで鍛えられた日本経済に対する観察眼。

 

「生きた人間の物語としてバブルを語りたい」というジャーナリスト精神。

 

これらが融合することによって、本書の魅力が倍加したと言えば褒めすぎだろうか。

 

バブル発生の真因は何か。「やはりユーフォリアなのだろう」と永野さんは言う。「はまったら止まらない。理屈じゃない」

 

さまざまな顔ぶれが集まった会場からは「日経もバブルをあおったよね」という厳しい質問が飛んだ。永野さんは「(日経の)証券部には相当な警戒感があった」と断った上で、1987年のNTT(日本電信電話)株式上場フィーバー以降は「株価が伸びると(新聞の)部数も増えたからなあ」と正直なコメントも。充実の90分間だった。


時事通信社解説委員 軽部 謙介

ゲスト / Guest

  • 永野健二 / Kenji Nagano

    日本 / Japan

    ジャーナリスト / Journalist

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