2017年02月20日 14:00 〜 15:30 10階ホール
「トランプ政権:米国と世界の行方」(2)対アジア外交 田中均 日本総合研究所国際戦略研究所理事長/ピーター・ランダース ウォールストリート・ジャーナル東京支局長

会見メモ

壇上左からランダース氏、田中氏

司会 坂東賢治 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)

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会見詳録


会見リポート

米中協調が日本の利益

船津 靖 (広島修道大学教授・共同通信出身)

トランプ政権への田中均・元外務審議官の評価は低い。「米国第一主義」や「取引」は「自由民主主義を守る」といった「政策の判断基準」ではない。それを示せない米国の指導力は落ちていく。安保や対米黒字など以前から対処してきた日米2国間関係より、このことの方が日本への影響はずっと大きい、という。

 

田中氏は「日米」より「米中」の方が日本にとって重要だと強調する。その判断の根底にあるのは訪日外国人の大多数が中国、韓国、台湾からという現実だ。日本の国力が低下する中、周囲が敵対的な国々では困る、日米だけでは危ういとの認識だ。

 

「米中貿易戦争は日本の利益にならない」と言い切る田中氏は、米中協調の条件として①中国が南シナ海で自制する、②北朝鮮問題で中国が日米側に付く、の2つを挙げた。

 

同席したランダース支局長が、金正恩政権も「限度を知っているのでは」と質問した。田中氏は、いや同政権の「理性の程度」は下がっていると憂慮を示し、核問題解決に欠かせない中国を巻き込むため、日米韓が中国にどんな「保証」を与えられるか協議すべきだと主張した。北朝鮮崩壊時の難民対策と38度線以北への米軍不展開が例示された。

 

2人の見方はトランプ政権の今後についても異なった。田中氏は対ロ関係の疑惑を調べる米議会、情報機関、メディアなど「知的エスタブリッシュメント」の反撃の始動、さらに弾劾の可能性にも触れた。

 

私が遠い昔モスクワで勤務した際の見聞から言えば、ロシア当局が外国要人や外交官らの醜聞を収集しているのは常識である。事実と規範をないがしろにするトランプ政権崩壊のドラマを私も見てみたい。しかしランダース氏は「4年間持つかもしれない」との見通しを述べ、さらに民主党の人材不足などから「8年も、ないとは言えない」と付け加えた。


ゲスト / Guest

  • 田中均 / Hitoshi Tanaka

    日本 / Japan

    日本総合研究所国際戦略研究所理事長 / Chairman, Institute for International Strategy, the Japan Research Institute, Ltd.

  • ピーター・ランダース / Peter Landers

    アメリカ / USA

    ウォールストリート・ジャーナル東京支局長 / Tokyo bureau chief, The Wall Street Journal

研究テーマ:トランプ政権:米国と世界の行方

研究会回数:2

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