2017年02月02日 15:00 〜 16:30 9階会見場
マイケル・オレン イスラエル首相府外交担当副大臣

会見メモ

歴史研究者、退役少佐、元駐米大使と多彩な顔を持つ。「わが国は以前、人類の半分と敵対していたが、今は中露、スンニ派アラブ諸国とも仲良しで、建国以来、今が一番強力」「パレスチナ問題は2国家2国民の枠組で解決めざす」「トランプ外交は楽しみだ」

 

司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)

通訳 長井鞠子(サイマル・インターナショナル)


会見リポート

スンニ国家群との関係良好で強気の姿勢

杉田 弘毅 (企画委員 共同通信社論説委員長)

 

トランプ米政権は親イスラエルであるし、ロシアのプーチン大統領もイスラエルとの関係強化に動く。中国はイスラエルへの傾斜をかなり前から進めている。となると、イスラエルが自信を持つのはよく分かる。

 

米政権有力者ジャレッド・クシュナー上級顧問がイスラエルのネタニヤフ首相と極めて近いとあって、「トランプへの道はイスラエルから」は日本にもあてはまる。

 

終始、強気の発言が目立った。米国が在イスラエル大使館をエルサレムに移転する問題も、「いまさら大騒動は起きない。パレスチナ問題で米国がイスラエル寄りの政策を取ろうとする度に、大暴動が起きると反対論が出るが、結局暴動は起きていないのだ」と言う。

 

サウジアラビア、エジプト、ヨルダンなど「スンニ国家群」と、イスラエルは良好な関係を築いているから、かつてのような「イスラエル」対「アラブ」はあてはまらない、という説明だった。

 

しかし、パレスチナとイスラエルの関係は悪化する一方だ。交渉自体が行われていないという冷酷な現実がそこに残る。

 

トランプ米大統領がメキシコ国境に築こうとしている「壁」は、イスラエルがパレスチナ人居住区を囲んだ壁をヒントにしているというし、入国禁止の大統領令の対象となった7カ国はいずれも、イスラエルと敵対するイランやその友好国が多い。

 

そのイランと米国などが結んだ核合意の行方が焦点だ。イスラエルは「悪い合意」と批判し、トランプ政権も同意見だ。イランによる合意違反が何を指すのか、10~15年の合意履行期間が終わった後に、イランに核兵器開発を認めるのか、「懸念は多い。再交渉は必要だし可能だ」と言う。

 

会見前の控え室で、記念品のネクタイを選んでもらったら、その場で着けて会見に臨んだ。このサービス精神も自信の表れだろう。

 


ゲスト / Guest

  • マイケル・オレン / Michael Oren

    イスラエル / Israel

    首相府副大臣(外交担当) / Deputy Minister for Diplomacy in the Prime Minister’s Office

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