会見リポート
2016年12月12日
17:30 〜 18:30
10階ホール
世耕弘成 経済産業相兼ロシア経済分野協力担当相 会見
会見メモ
日露首脳会談を前に、身近で見聞きした日ロ首脳同士の生々しいやり取りや所管の日ロ経済協力について語った。「プーチン大統領は日本との経済事業に大きな関心がある」。「食い逃げ」批判には「与えるだけの事業はなく、すべてビジネスベース」と反論した。
司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
会見リポート
経済協力で日露は「ウイン・ウイン」
松島 芳彦 (共同通信社編集委員兼論説委員)
ウクライナ南部クリミア半島を強制的に編入したロシアは、欧米の経済制裁の対象だ。日本も制裁を課している。解除の見通しは立たない。それでも安倍晋三首相はロシアとの経済関係拡大を目指し、対ロシア経済協力担当相を新設し、世耕弘成経済産業相に兼任させた。北方領土問題を自らの手で進展させる意欲の表れだった。
世耕氏は、制裁を課しつつ経済関係を強化するという、複雑な役回り。座右の銘「随所作主」について、与えられた場所で全力を尽くすことだと解説し「(NTTの)サラリーマン時代から、ポストを選んだことはない」と胸を張った。
会見は16年12月12日。冒頭の30分間、日露関係をいかに経済で好転させるか熱弁を振るい、よどみがなかった。プーチン露大統領の訪日を控え、北方領土の進展に暗雲が立ち込めていたが、この人が語ると展望が開ける錯覚が生まれるのは人柄のなせる技か。
官邸で各省庁の取りまとめ役となり、経済協力「8項目提案」を練り上げた。首相が自らこの提案を大統領に説明するための資料も作成。図入りの出来栄えに関心した大統領から、直接ほめられたエピソードも紹介した。
経済協力だけ先行して領土問題が置き去りになる「食い逃げ論」には語気を強めて反論した。「そのような批判は不当だ。全てビジネスベース。将来になって収益が戻ってくる。経済協力は日本にもメリットがある。ウイン・ウインの関係だ」と力説した。
ロシアとの関係は2005年の初訪問から。「議員交流で議事堂を訪れたら、昼からウオッカで乾杯。意外に几帳面で、日本人と一緒に仕事がしたいという意欲を感じた」と言う。北方領土の共同経済活動については「われわれがまとめたプロジェクトには、現段階で含まれていない」と慎重に言葉を選んだ。
ゲスト / Guest
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世耕弘成 / Hiroshige Sekou
経済産業相兼ロシア経済分野協力担当相 / Trade minister METI minister as well as state minister responsible for economic cooperation with the Russian Federation