2016年08月05日 15:00 〜 16:00 10階ホール
リオ五輪開幕  駐日ブラジル大使 会見

会見メモ

リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの開幕日に、開催国ブラジルのアンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ大使が会見し、記者の質問に答えた。
司会 中井良則 日本記者クラブ顧問
通訳 小島寿美夫(ブラジル大使館)


会見リポート

リオ五輪開幕 課題山積でも前向き

中井 良則 (日本記者クラブ顧問)

2016リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックの開幕を前にブラジルのコヘーア駐日大使が会見した。五輪を取り巻くブラジルの政治経済社会は、恵まれた状況とはいいがたい。汚職、大統領弾劾裁判、マイナス経済成長、治安悪化と数えだすと、気の毒になるぐらい課題が山積している。それでも外交官らしく、積極的にプラス面を指摘し、オリンピックがブラジルにもたらすであろう効果を前向きに説明した。

 

デモの多発を心配する質問には「世界からジャーナリストが集まるから、アピールするには絶好の機会です。オリンピック経費への抗議や弾劾の賛否両派のデモが続く。しかし、平和に意見を表明できるのは透明性に富んでいるからでしょう、健全な民主主義の表れです」と切り返した。テロの危険性についても「国際テロ組織との距離を保つことに成功しています。貧富の格差は存在するが、それが原理主義や過激主義には結びついていないのです」と欧州との違いを説明した。

 

経済状況を聞かれると、資源価格下落や中国向け輸出の減少、インフレ再燃などを解説した上で「私の若いころの年率1000%の猛インフレとはまったく状況は違う」と述べ、悲観論には陥らない。強盗事件が多いと質問されても「リオの状況は劇的に改善されています。日本のように世界でもまれな安全な国と比べれば、確かに問題はあります」と日本をほめる答えになった。

 

どの質問にも、課題があることを認めた上で、ブラジルが対策に取り組み成果を上げていることを強調する姿勢をみせた。

 

最後に、世論調査ではブラジル国民はオリンピックを支持していないようだが、という質問が出た。

 

「庶民からみればオリンピックに大金を使う一方で、失業など暗いニュースが多い。開催地リオはともかく、ほかの地方にはどんな関係があるかわからないという人もいるでしょう。でも、このオリンピック開催はブラジルにとって分水嶺となる。成功したと認められる歴史的な評価となれば、ブラジル人の士気はあがりプラスになるでしょう」

 

最後は外交官というより、期待感を込めた答えだった。


ゲスト / Guest

  • アンドレ・コヘーア・ド・ラーゴ / André Corrêa do Lago

    駐日大使 / Ambassador to Japan

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