会見リポート
2016年05月25日
16:30 〜 17:30
10階ホール
総会記念講演会 大村智 北里大学特別栄誉教授(ノーベル賞受賞者)
会見メモ
2015年ノーベル生理学・医学賞受賞者の大村智 北里大学特別栄誉教授が「私の歩んで来た道」題して話した。
司会 伊藤芳明 日本記者クラブ理事長(毎日新聞)
会見リポート
ノーベル賞に必要な知恵はスキーで学んだ
井上 能行 (東京新聞論説委員)
昨年、ノーベル賞を受賞した大村智博士の総会記念講演会は、何度も笑いに包まれた。
山梨県の農家に生まれ、農繁期は夜明け前から手伝いをさせられた。一方、農閑期は大好きなスキーに熱中、国体にも出場した。
うまくなるには「レベルの高いところにいること。いつの間にか自分もレベルが高くなる」。勝つためには「学んでいるだけではダメ。独自の方法が必要」。それをその後の人生でも実践してきたと話す。必要なことは全てスキーに学んだと言っているようだった。
講演で紹介された写真は、他の人と一緒に写ったものが多かった。人とのつながりを大事にしていることがうかがえた。渡米後は、著名な研究者との記念写真が続いた。早くから高く評価されていたことが分かる。
受賞理由となったエバーメクチンは、ゴルフ場で見つかった。そのゴルフを始めたきっかけに驚いた。
「夜眠れなくなった」とき、精神科医に「パチンコかゴルフか。他のことを忘れるようなことをしなさい」と言われたという。「5年でハンディ5までいった」。やはりノーベル賞学者は違う。
無償の薬で熱帯地方の人たちを救っただけではない。伝統のある北里研究所を再建した。
再建を決心したとき「あなたはいつも給料の安いところに行く、と家内に言われた」と笑った。だが、夫人は「研究をやるのが条件ですよ」と付け加えたという。内助の功があったのだ。
受賞が決まった日の記者会見を思い出した。首相からかかってきた電話を手にした職員が現れた。大村さんは大勢の記者が待っているからと、電話に出ずに会見を始めた。
講演を聴いて、この人だからできたのだと感じた。
ゲスト / Guest
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大村智 / Satoshi Omura
北里大学特別栄誉教授(ノーベル賞受賞者) / Nobel Prize Winner in Physiology or Medicine / Professor Emeritus, Kitasato University
研究テーマ:私の歩んできた道