会見リポート
2016年04月28日
15:00 〜 16:00
9階会見場
「LGBTと社会」松中権 認定NPO「グッド・エイジング・エールズ」代表
会見メモ
セクシャル・マイノリティ(同性愛者や性同一性障害などを含む)が活躍できる社会のあり方について、NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」の代表を務める松中権氏が話し、記者の質問に答えた。
司会 宮田一雄 日本記者クラブ企画委員(産経新聞)
会見リポート
性はグラデーション カラダの性、ココロの性、スキになる性
宮田 一雄 (企画委員 産経新聞特別記者)
「LGBTと、いろんな人と、いっしょに」を合言葉にしたグッド・エイジング・エールズは2010年に設立された。「セクシャリティを越えてすべての人が自分らしく素敵に歳を重ねていける社会づくり」を応援し、「企業やNPO・NGOとの積極的なコラボレーション」を通してLGBTフレンドリーな「場づくり」を進めるという。
会見では「世の中とLGBTをつなぐ『のりしろ』の役割」という説明もあった。
LGBTはレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの略称である。そのほかの性的指向、性自認の人も含めた性的少数者(セクシャルマイノリティー)を総称して使われることもある。世界各地の調査では、LGBTは人口の5~10%を占めると報告されることが多い。たとえば全人口中の左利きの人やAB型の血液の人と同じような割合だという。
松中さんは(1)カラダの性 (2)ココロの性(性自認) (3)スキになる性(性的指向)の関係からセクシャリティについて説明した。
カラダの性とココロの性は一致している人が多いが、一致していない人もいる。一致していない人はトランスジェンダーと呼ばれる。「性同一障害」は、医師によりその状態が「障害」としてとらえられたときの呼称であり、トランスジェンダーの人すべてが自らを「性同一障害」ととらえているわけではない。
LGBは、自らのココロの性(2)とスキになる性(3)の関係(性的指向)
T は、カラダの性(1)とココロの性(2)の関係(性自認)
そのほかにも様々な性的指向、性自認の人がいて、セクシャリティはグラデーション(連続的変化)の中でとらえる必要がある。
分かりやすい説明をしていただいたはずなのに、なぜか混乱してきた。個人的な理解不足は大いに反省するとして、このあたりは私が付け焼き刃の知識を振り回すより、YouTubeの日本記者クラブチャンネルで会見録画をご覧いただいた方がよさそうだ。
質疑も含め1時間の会見は、そもそもLGBTとは、という基本説明から、最近の世界および日本国内の動き、そしてグッド・エイジング・エールズの活動まで、手際よく、分かりやすく、そして会見自体がLGBTフレンドリーな場となるようなかたちで進められた。小中学生時代の自分の名前に対する違和感から入って自らのセクシャリティにつなげる「つかみ」も見事。勤務先には「得意先を回ってきます」と言って出てきたというひと言もあり、「それじゃあYouTubeはアップできないじゃないの」と司会は一瞬、不安に駆られたが、実は「ちゃんと休暇をとってきました」という。一杯食わされたか。
そのあたりの緩急も含め、見事なプレゼンテーションは、社会を変えていくグレート・コミュニケーターとしての高い能力をうかがわせた。
ゲスト / Guest
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松中権 / Gon Matsunaka
認定特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ代表 / Chairperson, Good Aging Yells
研究テーマ:LGBTと社会