会見リポート
2016年04月13日
14:00 〜 15:00
10階ホール
「3.11から5年」⑰ 達増拓也 岩手県知事
会見メモ
達増拓也 岩手県知事が会見し、記者の質問に答えた。
司会 山﨑登 日本記者クラブ企画委員(NHK)
会見リポート
すべての県民が「希望」を持てる復興を
泉 宏 (時事通信出身)
東日本大震災から5年、被災県の知事として走り続けてきた達増拓也知事が復興のキーワードとしているのは「希望」だ。廃虚と化した岩手県沿岸部の復興事業で最優先したのは「仕事の確保」。「まず、仕事と雇用の場をつくらないと被災した県民が将来への希望を持てない」との判断からで、5年間の努力の結果「なりわいの再生は8割程度回復した」と胸を張る。
一方で、住環境の復興・整備は遅れた。災害公営住宅の完成率は今年2月末時点でまだ48%にとどまるが、「これからは住宅最優先、今年度末までに9割を完成させる」と意気込む。
大震災以前から危機が叫ばれていたのが県の人口減少。「震災前5年より震災後5年の方が減少幅が縮小した」という現実を「若者が地元志向を強めた結果」と分析し、若者や女性を復興の牽引役とするため住宅、教育、仕事、結婚、出産などの課題について「あらゆる政策手段を動員」して「岩手の生きやすさ」を追求していく考えだ。
その一方で、県民の「夢」として「国際リニアコライダー(略称=ILC)」の実現にも挑む。ILCは、超高エネルギーの電子・陽電子の衝突実験を行うため、国際協力によって設計開発が進む「宇宙を作る加速器」の世界的ビッグプロジェクト。すでに県内の北上山地が有力候補地に選定されており「実現すれば万単位の研究者が集結するので、人的往来や経済効果で復興のシンボルになる」と力説する。
盛岡市で生まれ、東大―外務省―衆院議員(4期)という絵に描いたようなエリートコースを歩んだ達増氏だが、2007年4月に県知事に転身し、その1期目に大震災という未曽有の危機に直面した。控室で揮毫したのは「希望」の2文字。「どうすればいいかが分かれば希望が生まれる。その答えが見つかる岩手にしたい」と会見を締めくくった。
ゲスト / Guest
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達増拓也 / Takuya Tasso
岩手県知事 / Governor, Iwate Prefecture
研究テーマ:3.11から5年
研究会回数:17