2016年02月22日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「チェンジ・メーカーズに聞く」②山海嘉之 サイバーダイン社長

会見メモ

筑波大学発のベンチャー企業、サイバーダイン社の山海嘉之社長(筑波大学大学院教授・サイバニクス研究センター センター長、内閣府ImPACTプログラム プログラムマネージャー)が会見し、記者の質問に答えた。ロボットスーツ「HAL」の実演も行われた。

司会 川上高志 日本記者クラブ企画委員(共同通信)


会見リポート

革新技術で社会課題の解決を

木村 裕明 (朝日新聞社経済部次長)

研究者出身の起業家という枠に収まらない型破りなベンチャー経営者が登場。「チェンジ・メーカーズに聞く」というシリーズにふさわしい会見となった。

 

山海さんが経営する筑波大学発のベンチャー「サイバーダイン」は、歩行機能を改善する治療に使える世界初のロボットスーツ「HAL」を開発。病気や事故で足が動かない人でも、動かそうとする信号を検出できれば、その情報を読み取りながらロボットが動く。ドイツに続いて、日本でも筋ジストロフィーや筋萎縮性側索硬化症(ALS)など8つの筋肉や神経の難病を対象に保険適用が認められた。難病患者や介護者の期待は大きい。東証マザーズへの上場も果たし、投資家の注目度も高い。

 

会見にはHALも登場した。センサーを足に貼った男性が右足を動かそうとしただけで、HALの右足が動く。その姿に目を奪われた。技術的には、プロゴルファーのスイングの動きを記録させ、プロの「コツ」を吸い出して伝承することもできるというから驚きだ。

 

山海さんが会見でたびたび口にしたキーワードが「社会実装」。自分の研究成果をベースに未来を描くのでは、社会課題は解決できない。未来から現在を見て、目指す姿にたどり着くために必要な技術的課題や規制などを乗り越えていかなければ、技術を社会の中に実装することは難しい――。山海さんはそう強調した。他の大学発ベンチャーと一線を画すスケールの大きさをサイバーダインに感じるのは、「社会課題の解決」をゴールに設定して挑戦を続ける山海さんの構想力によるものだろう。

 

「『もう一回やってみろ』と言われれば、生唾をのむしかない。それぐらい大変だった」。これまでの歩みをそう振り返った山海さん。自らの経験を「プラットフォームとして次のチャレンジャーに提供したい」とも語った。次はどんな型破りなイノベーターが登場するのか。いまから楽しみだ。


ゲスト / Guest

  • 山海嘉之 / Yoshiyuki Sankai

    日本 / Japan

    サイバーダイン社長 / CEO, Cyberdyne Inc.

研究テーマ:チェンジ・メーカーズに聞く

研究会回数:2

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