2016年02月01日 11:00 〜 12:00 10階ホール
建築家 隈研吾氏 会見

会見メモ

新国立競技場のデザインを担当した隈研吾氏が会見し、記者の質問に答えた。

司会 瀬口晴義 日本記者クラブ企画委員(東京新聞)


会見リポート

デザイン類似の指摘に反論

森田 睦 (読売新聞東京本社文化部)

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場をデザインした、建築家の隈研吾氏が会見し、デザインのコンセプトを改めて説明し、ザハ・ハディド氏の旧デザイン案との類似点が指摘されることに対して反論した。

 

会見で隈氏は、競技場の鳥瞰図や内部、断面図などをプロジェクターに映しながら▽神宮外苑の森との調和を考え、建物の高さを49メートルとなるべく低くしたこと▽軒庇(のきびさし)や屋根などに木をふんだんに使い、木の温かみを感じられる工夫をしたこと▽最上階の外周に約850メートルの回廊を設け、散策を楽しめるようにしたこと――など競技場の概要を説明した。

 

質疑応答では、白紙撤回された旧案をデザインした英国の建築家ザハ・ハディド氏の「競技場の設計や観客席の配置が似ている」という指摘に対する見解を問われた。隈氏は「建物の外観は対照的だと思う」と反論。客席が旧案と同じ3層構造であることについては、旧コンペの最終審査に残った11作品のうち7作品が採用していることを指摘した上で、避難やユニバーサルデザインの問題を考えたり、法令を順守したりすると、同じような形に落ち着くとの見解を示した。座席のレイアウトや柱の位置などが似ている点についても、同様の見解から「著作権の専門家に聞いても問題ないと言われている」と反論した。

 

19年のラグビー・ワールドカップの決勝戦に間に合うような工期短縮の可能性については、「かなり精密に工程表が作られており、2カ月の短縮は非常に厳しいと思う」と回答した。

 

隈氏は会見で、法隆寺の五重塔を例に出すなどして、平易な表現に心がけているのが印象的だった。また、1月15日には日本外国特派員協会でも会見を行うなど、国内外に向けて丁寧に説明しようとする姿勢もがうかがえる。

 

今後、聖火台の位置など、関係者と詰めて詳細な設計が行われていく。何かと注目される建築物だけに、引き続き丁寧な対応が求められるだろう。


ゲスト / Guest

  • 隈研吾 / Kengo Kuma

    日本 / Japan

    建築家 / Architect

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