2015年08月04日 15:00 〜 16:30 9階会見場
ジャーナリスト 堀川惠子氏 著者と語る『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』

会見メモ

元広島テレビ記者の堀川さんが著書『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』について話し、記者の質問に答えた。
司会 倉重篤郎 日本記者クラブ企画委員(毎日新聞)


会見リポート

「命が軽く扱われている」怒り原点に

倉重 篤郎 (企画委員 毎日新聞論説室専門編集委員)

司法制度をめぐる一連のノンフィクション作品で堀川さんには以前から注目していた。今回も秀作。話も上手であることがわかり大収穫だった

堀川さんによると、広島の原爆による死者数が発表者や発表年によって大きなブレがあることが気になっていた。あの地獄の業火で焼き殺された人々の命がそんなにいい加減に軽く扱われていいのか。そんな怒りが原点にあった。

 

例えば、広島平和記念公園の中にある原爆供養塔である。この塔の中に7万人の遺骨が納められており、その一部は名前、住所、発見場所のメモもあるのに一向に遺族に届けられる気配がない。

 

供養塔の守り手とも言われた佐伯敏子さんがそのことに気づき、手弁当で遺族を調べ遺骨を返す活動を始めた。堀川さんはその佐伯さんを引き継ぎ、取材のノウハウを使って、残る無縁仏の身元を追いかけた。ところが意外に作業は進まない。なぜか。実は、被爆者の身元調査に当たったのは10代の少年兵からなる特攻部隊であり、メモそのものが正確でなかったという事情が判明した。

 

どうしても一線で取材がしたくて広島テレビをデスクで退職して10年。次作が待ち遠しい。


ゲスト / Guest

  • 堀川惠子 / Keiko Horikawa

    日本 / Japan

    ジャーナリスト / Journalist

研究テーマ:著者と語る

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