2015年06月17日 15:00 〜 16:00 9階会見場
「沖縄から考える」④ 森本敏 元防衛相

会見メモ

民間人初の防衛相を務めた森本敏氏が沖縄米軍基地と東アジア情勢について話し、記者の質問に答えた。
司会 島田敏男 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

戦略的要地 対中抑止力と沖縄の負担

藤川 大樹 (東京新聞・中日新聞外報部)

米軍普天間飛行場はなぜ沖縄県外に移設できないのか―。その問いに、安全保障の専門家の立場から明確に答えた。海洋進出を強める中国に対する抑止力機能を考えた場合、事実上、沖縄しか選択肢がないのだという。

 

中国は1971年に突如、尖閣諸島の領有権を主張し始めた。当初は海洋資源が狙いだったが、第一列島線内の制海権掌握をもくろむ今、戦略的な重要度が増した。尖閣の「国有化」以降、中国の政府公船による領海侵入事案が頻発。森本氏は、仮に尖閣が中国の領土となれば、「自衛隊と在日米軍の活動の自由度はほぼ失われる」と危機感を隠さない。

 

軍事的な観点から言えば、沖縄に比べて抑止力はやや落ちるものの、移設先は「九州の西半分」でも構わないと言う。しかし、政府が国内各地をさまざまな面から検討した結果、条件を満たす場所を見つけられず、「沖縄に戻ってきた」。元防衛相の言葉は重い。

 

ただ、日本の国土面積の0.6%の沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中していることは忘れてはならない。沖縄は70年前に激しい地上戦が繰り広げられた地でもある。抑止力と沖縄の負担をどう両立するか。簡単に答えは出そうにない。


ゲスト / Guest

  • 森本敏 / Satoshi Morimoto

    日本 / Japan

    元防衛相 / Former Minister of Defense

研究テーマ:沖縄から考える

研究会回数:4

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