会見リポート
2014年12月04日
15:00 〜 16:30
宴会場(9階)
研究会「『イスラム国』をめぐる諸問題」 田中浩一郎日本エネルギー経済研究所中東研究センター長、保坂修司同副センター長
会見メモ
日本エネルギー経済研究所中東研究センターの保坂修司副センター長(写真左)が、イスラム国の成り立ちや実態について、田中浩一郎センター長(写真右)が、イスラム国が周辺諸国や国際情勢に及ぼす変化について解説した。
司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員(日本経済新聞社)
会見リポート
「イスラム国」の脅威 旬のテーマで濃密なレク
脇 祐三 (企画委員 日本経済新聞コラムニスト)
過激派「イスラム国」はどのような集団で、なぜ勢いづいたのか。その脅威に国際社会はどう対応すべきか。日本でも関心の高いテーマについて、保坂氏(写真左)はイスラム過激派の系譜とイデオロギーを中心に説明し、田中氏は中東をめぐる国際関係を整理して問題点を提示した。
米国という遠い敵をターゲットにしたアルカイダと違って、「イスラム国」はイラクやシリアで彼らが背教者と断じる他の宗派や勢力を倒そうとするローカル性もある。保坂氏は「イスラム国」の特徴をそう説いたうえで、「古典的なイスラム法を表面上は踏襲しているので、既存の宗教権威が批判しづらい面もある」と指摘した。
シリア内戦には冷戦を続けるサウジアラビアとイランの「代理戦争」の要素がある。そう指摘する田中氏は、「イスラム国」の脅威を抑えるには、「イランも含めた協議の枠組みを設けて、シリア内戦に現実的、包括的に対応する必要がある」と強調した。
多くの出席者が1時間半の間、熱心にメモを取っていた。現役の中東担当記者にも有益な、密度の高いレクチャーだった。
ゲスト / Guest
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田中浩一郎日本エネルギー経済研究所中東研究センター長、保坂修司同副センター長 / Koichiro Tanaka, Shuji Hosaka
/ JIME Center, Institute of Energy Economics, Japan
研究テーマ:「イスラム国」をめぐる諸問題