2014年06月27日 13:00 〜 14:30 10階ホール
研究会「エジプト、シリア 大統領選後の中東」 池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授

会見メモ

池内恵・東京大学先端科学技術センター准教授が、エジプト、シリア大統領選の解説を入口に、武装組織「イラク・シリア・イスラム国」(ISIS)と政府の戦闘が激化するイラクはじめ中東諸国の情勢について分析した。

司会 脇祐三 日本記者クラブ企画委員


会見リポート

「治安」てこ入れ 反動で過激派伸長

中檜 理 (共同通信外信部)

5、6月に相次いで行われたエジプトとシリアの大統領選を分析し、混乱が続くイラク情勢を読み解いた。


イスラム組織ムスリム同胞団出身のモルシ大統領をクーデターで追い出し、軍出身のシシ氏が新大統領に就いたエジプト。内戦下でアサド大統領が3選したシリア。両国に共通するのは〝セキュリティー化〟だという。


強権的な統治の正統性を「治安のため」と国内外に説明し、お墨付きを得ようとする。一方、選択肢がなくなった勢力はジハード主義に走る―。それがいま、イラクでも起きている。


ややこしいのがスンニ派の動向だ。同派の過激派「イラク・シリアのイスラム国」がイラク北部の都市を一挙に制圧したのは、シーア派のマリキ政権に否定的なスンニ派部族連合などの協力があったからとされる。しかし「自分たちの立場を政権が認めたら、自らもセキュリティー化するだろう。一転して過激派の掃討に乗り出す可能性がある」と指摘する。


エジプト、シリア、イラクなどで起きている負の連鎖は、ポスト「アラブの春」の過渡的な事象なのか、それとも中東全域が混沌としつつあるのか。少なくとも明るい未来は見通せなかった。


ゲスト / Guest

  • 池内恵 / Satoshi Ikeuchi

    日本 / Japan

    東京大学先端科学技術研究センター准教授 / Associate Professor, The University of Tokyo Islamic Political Thought Research Center for Advanced Science and Technology

研究テーマ:エジプト、シリア 大統領選後の中東

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