会見リポート
2014年05月23日
13:00 〜 14:30
10階ホール
研究会「日本発の研究は信頼回復できるか」 山崎茂明 愛知淑徳大学教授
会見メモ
愛知淑徳大学の山崎茂明教授が「STAP細胞論文のゆくえ」と題して話した。不正行為の定義、オーサーシップの定義および論文撤回をめぐり3つの混乱が起きている。論文のレフェリーシステムを補完するために、新聞の読者欄を充実させ、ブログによる迅速な意見集約が重要になってきている、とした。
司会:服部尚 日本記者クラブ企画委員(朝日新聞社)
会見リポート
研究不正の予防は「環境改善」と「教育」から
芝田 裕一 (読売新聞東京本社調査研究本部)
日本の科学界で不正は起こりにくいと思われていた頃、『科学者の不正行為』(丸善、2002年)を書いて「日本も例外ではない」と警鐘を鳴らした。大学や国立研究機関が法人化され、研究資金獲得競争が激しさを増したいま、不正ははびこり、研究の健全性が損なわれつつあるという。
研究不正を病気にたとえた比喩に、なるほどと思った。健康な人が劣悪な環境にいると体調を崩すように、研究者も研究環境が悪化すると不正に手を染めてしまう。予防するには「環境の改善」と「教育」という公衆衛生学的な方法が有効だ。
STAP細胞論文で問題視するのは、共著者の責任。小保方氏の上司である理化学研究所の笹井芳樹氏は「論文書き直し時から加わっただけ」と釈明したが、ネイチャー論文には研究デザイン、実験、執筆の責任者と明記されている。高名な笹井氏が寄与していないのに責任著者に加わり、見かけの信頼性を演出したとしたら、それも不正だ。
米国政府は生命科学の研究不正を調べる「研究公正局」を持つ。「日本にも必要か」の問いには「啓蒙など幅広い活動をするならよいが、取り締まりだけの組織なら賛成しない」と慎重だった。
ゲスト / Guest
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山崎茂明 / Shigeaki Yamazaki
愛知淑徳大学教授 / Professor of Aichi Shukutoku University
研究テーマ:日本発の研究は信頼回復できるか