会見リポート
2013年06月11日
12:00 〜 13:30
10階ホール
米田壮 警察庁長官 昼食会
会見メモ
米田壮・警察庁長官が会見し、最近の治安情勢全般について説明した。2万7千人の警察官増員や防犯カメラの設置など治安基盤の整備により、治安の基調は改善している。ただし、原発施設へのテロの脅威、複雑化する暴力団情勢、サイバー犯罪などの懸念材料もある。
サイバー犯罪は年々悪化しており、ネット空間は現実空間とならぶ第二の戦場になってきている、とも。
司会 日本記者クラブ理事 箕輪幸人(フジテレビジョン)
代表質問 日本記者クラブ企画委員 川上高志(共同通信)
会見リポート
組織立て直し 喫緊の課題に眼光鋭く
沢田 敦 (東京新聞社会部)
今年1月から、全国25万人の警察官のトップとして巨大組織を率いる。「公務員試験に合格して官庁訪問するまで、警察庁という役所があることも知らなかった」というエピソードを持つが、入庁後は刑事畑を中心に主流を歩んできた。大阪府警捜査2課長時に巨額詐欺の豊田商事事件、和歌山県警本部長時には毒物カレー事件の捜査を指揮した。
「かつては体力があるから病気を寄せ付けなかった。今は体力は低下したが、うがいや消毒で何とか病気にかからずに済んでいる」。現在の治安情勢を人間の体に例え、直面する課題として、原発テロ警備と暴力団対策、サイバー犯罪・攻撃対策について説明した。
中でも、長年取り組んできた暴力団対策には言葉に力を込めた。警察庁組織犯罪対策部長時の6年前に成立した犯罪収益移転防止法に触れ、「疑わしい取引の届け出が急増した。企業社会をめぐる警察と暴力団の闘いは、この頃が分水嶺だったかもしれない」と自負した。
一方、「当面の最重点課題」として、北九州市で相次ぐ事業者襲撃事件と東日本大震災の復旧・復興事業への暴力団の介入を挙げた。
昨年、懲戒免職と逮捕者が過去最多になった警察官・警察職員の不祥事対策を問われると、故土田國保・元警視総監の「階級なる者が特権、傲慢、不勉強という意味に理解されるならば、警察組織の命運、命脈はその瞬間に絶たれる」という言葉を紹介。各都道府県警幹部の「たたずまい」の重要性を強調し、組織の立て直しを誓った。
ゲスト / Guest
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米田壮 / Tsuyoshi Yoneda
警察庁長官 / Commissioner General , National Police Agency