会見リポート
2012年03月02日
11:00 〜 12:00
10階ホール
アピシット タイ前首相 記者会見
会見メモ
司会 日本記者クラブ企画委員 坂東賢治(毎日新聞)
アピシット氏のホームページ
http://www.abhisit.org/Home_RHS_EnglishURL.php
前回(2009年2月6日)の首相として会見した際のページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2009/02/r00014901/会見リポート
タイ与野党の「本腰」期待
植田 粧子 (共同通信外信部)
「端正な容姿で、女性に人気の新首相」。タイの野党民主党のアピシット党首が2008年末に首相に就任した時、そんな原稿を書いた。アピシット政権下、06年のクーデターで追放されたタクシン元首相の支持者らが大規模反政府デモを展開し、軍治安部隊とデモ隊の衝突で多数が死傷する大混乱となった。タクシン派と反タクシン派の対立はピークに達し、アピシット首相の甘いマスクは苦悩でゆがむことが多かった。
しかし、民主党は昨年7月の総選挙で敗北し、タクシン派が政権を奪還。首相退任後のアピシット党首は、緊張から解放されたからか表情が穏やかになり、会見でも時折冗談を交える余裕がうかがえた。
昨年のタイ大洪水では、日系企業も約450社が工場水没などの被害を受けた。アピシット党首は会見で「治水管理や警報システムの改善など洪水対策の計画を政府や官庁、全国民が幅広く議論している」と繰り返し、「今年は絶対に洪水を起こさせない」と自信を示した。
野党として現政権がしっかり責任を果たすよう監視するとも約束。5月ごろから雨期に
入るのを踏まえ「ここ数カ月で対策を実行に移すことが重要な課題だ」と、与野党挙げて取り組む姿勢を強調し、日系企業のつなぎ留めを図った。
一方、海外亡命中の政敵タクシン元首相の話題になると、一転険しい表情に。「現政権はタクシン氏の恩赦や憲法改正より、洪水対策や経済政策に集中するべき」「服役するのなら、タクシン氏はいつ帰ってきてもよい」と皮肉まじりに語った。
タイに進出する日系企業は長引く政治混乱に慣れっこになっているとはいえ、災害対策だけでなく国民和解にも与野党が本腰を入れて取り組み、一歩前に進めてほしい。
ゲスト / Guest
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アピシット・ウェチャチワ / Aphisit Vejjajiva
前首相 / Former Prime Minister