会見リポート
2011年05月27日
18:00 〜 19:30
10階ホール
日本記者クラブ賞受賞記念講演会 国谷裕子NHK「クローズアップ現代」キャスター
会見メモ
2011年度の日本記者クラブ賞を受賞したNHK「クローズアップ現代」キャスター、国谷裕子さんが「インタビューという仕事、その怖さと魅力」と題して話した。キャスターを始めた経緯、キャスターの4つの役割、インタビューの難しさとおもしろさ――について、高倉健さんのインタビュー映像などを交えながら語り、質問にも答えた。
受賞理由
http://www.jnpc.or.jp/files/2011/05/021ddfc4ed5f39aea055a680f9136a5c.pdf
記念講演関連資料
http://www.jnpc.or.jp/files/2011/05/a57d7b03db2b1a2703f07a4ee51793c2.pdf
NHK「クローズアップ現代」
会見リポート
何をどう問うかが勝負
松下 佳世 (朝日新聞ジャーナリスト学校主任研究員)
放送3000回を超えるNHKの看板番組の顔として、お茶の間ではすっかりおなじみ。女性キャスター初の快挙も納得、と感じていたが、登壇したご本人は恐縮しきりで、画面越しよりずっと緊張して見えた。
話は、黎明期の衛星放送を舞台に、裏方からキャスターに転じたいきさつから始まった。日本時間未明の放送だから、「誰も見ていない」と説得され、カメラの前へ。実際に見ている人はほとんどいないなか、局内の視聴率は高かったようで、総合テレビで始まる新しい報道番組の国際問題担当キャスターに抜擢された。
期待通りのサクセスストーリーと思いきや、ここからが違う。「ポッと出」のキャスターは緊張のあまり言葉が出ず、視聴者のおしかりを受けて半年ほどで降ろされてしまう。
「一からやり直すチャンス」を手にしたのは4年後。衛星放送に戻ってからの成長を買われ、93年に始まった「クローズアップ現代」で総合テレビのキャスターに返り咲いた。
キャスターとは何か。その役割を模索する中で、最も大切にしてきたのがインタビューという仕事だという。
「猛烈に」準備して臨みながら、話が全く弾まなかった高倉健さんの回では、最長17秒もの「間」を耐えて待つことで、生きた言葉を引き出した。ヒューレット・パッカード社初の女性CEO、カーリー・フィオリーナさんには、本人が嫌がる「女性として」の部分を敢えて聞き続けた。
「アナウンサーが情報を正確に伝達するのが仕事であるのに対し、キャスターの仕事は、正確な情報に基づきながら、絶えず『問い』を発していくこと」。24年間の実践を通じて得た結論が胸に深く落ちた。
ゲスト / Guest
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国谷裕子 / Hiroko KUNIYA
NHK「クローズアップ現代」キャスター
研究テーマ:日本記者クラブ賞受賞記念講演会