1988年09月05日 00:00 〜 00:00 会見室
ミルトン・フリードマン・経済学者

会見メモ

1976年にノーベル経済学賞を受賞、シカゴ学派の総帥で、レーガン政権の経済政策に大きな影響を与えた。京都で開催のモンペルラン・ソサエティ国際会議に出席のため来日した。
冒頭、長広舌の“お弟子さん”の恩師紹介に、会場が飽いているのをみてとると、「もう、いいよ」と二度三度ソデをひくのだが、こちらもつわ者、なかなかいうことをきかない。
30分くらいしてようやく「先生は現在のタイトルでいえば私と同じで、スタンフォード大のシニア・リサーチ・フェローです」と、西山千明立大教授の講師紹介が終了。
すると、博士はすかさず「この人は30年前の学生です。私にとってはいまでも教え子ですから、過ちは正さねばなりません」。西山氏が『選択の自由』の著者として師を紹介した点に触れ、会場で傍聴している夫人の方に目をやりながら、「あれは私と家内の共著です」と。76歳、小がらだが頑健そのもので、声も大きい。周囲の視線に対する感度もいいし、雰囲気のほぐし方もとりなし方も心得ている。
さすがに“お師匠さん”と感心していたら、それはほんのサシミのツマで、真骨頂は予定を30分も越え1時間にわたった質問への答弁にあった。それは“お弟子さん”もはるかに及ばぬ強気と強靭さに裏打ちされていた。すなわち「American economy is very strong」「双子の赤字は問題でない」。
財政赤字は「規模も比較的小さいし、この数年は縮小してきている。最近10年の日本の赤字より小さい」「一般論としては好ましいことではないが、これは政府支出を抑える政治的役割を果たしたよいものであった」。
貿易赤字は「米国の力の象徴で、日欧の弱さの表れだった」。米国が減税とインフレ抑制により未曽有の経済ブームで、すぐれた資本投資市場だったから、“貿易赤字”と対になる“資本流入”が続いたのだと説明する。
自由市場と小さな政府の信奉者らしく、通貨問題についても「ルーブル合意がミステークだった。日本はあの時50億ドル投じたが、あれで日本の納税者は何を得たのか教えてほしい」と。
日本記者クラブ会報1988年10月号11~12ページから引用)

会見詳録

会見音声


ゲスト / Guest

  • ミルトン・フリードマン / MILTON FRIEDMAN

    アメリカ / USA

    経済学者 / Economist

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