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「ゼロに向かい、新たな地域へ」(文化放送 佐藤圭一)2018年2月

昨年春、避難指示が解除された飯舘村は農作地が広がるのどかな地域という印象だった。しかし、ところどころに除染廃棄物が入ったフレコンバッグが大量に積まれ、原発事故の事実を突き付けられる。飯舘村の菅野典雄村長は「放射能の災害はマイナスからゼロに向かう闘い。除染や風評被害の払しょくに長い時間をかける」と話し、覚悟の重さを感じた。

 

飯舘村の住民の帰還率は約1割。夜になっても灯りのともる住宅は見られず、慣れ親しんだ人たちのいない場所に戻ろうと思える人はどれだけいるのだろうと考えてしまう。

 

しかし、菅野村長をはじめ、田中俊一前原子力規制委員長、木幡浩福島市長の会見で聞かれた3者の共通する思いに希望を感じた。「住民を戻すだけではなく新たな住民を呼び込む地域づくりをしていく」。どんな魅力を創出していくのか、今後の取り組みに注目していきたい。

 

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