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記者が観た映画「ペンタゴン・ペーパーズ」 の記事一覧に戻る

クラブ訪米団が映画化の情報入手(大内 佐紀)2018年3月

「実は、あのスピルバーグ監督がワシントン・ポスト紙とペンタゴン・ペーパーズを題材にした映画を撮っているんだ」--。昨年9月、日本記者クラブの訪米団をポスト紙本社に迎え入れ、それまで淡々と編集局内を案内してくれていたキャメロン・バー局長が急に冗舌になった。

 

編集局中心部の壁に飾られたベン・ブラッドリー氏の名言「中身がどれほどひどくても、真実は、長い目で見ればウソほど危険ではない」=写真=を前に、しばし同氏の武勇伝を披露した後のこと。聞けば、同氏はトム・ハンクス、キャサリン・グラハム氏はメリル・ストリープという2大名優が演じるという。バー氏は「どれほど本物に似るのかな」と、やや心配している風でもあったが、どうして、どうして、完成した映画の2人は写真に残るイメージそのままだった。

 

ポスト紙は2013年、ネット通販大手アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス氏に2億5000万ドルで買収され、グラハム家の家族経営は終わった。本社も、かつての場所から数ブロック離れた瀟洒なビルに移転し、映画に漂った活版とインクの匂いは影も形もない。そして、デスク陣から記者まで、新経営方針「デジタル・ファースト」を口にする。

 

変わらないのは、真実を追求し、ホワイトハウスを頂点とする権力のあり方をチェックし続けようとする使命感だろう。今のホワイトハウスの主は、ブラッドリー氏の言葉をどう受け止めるだろうか。

 

(おおうち・さき 読売新聞社調査研究本部)

 

 

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