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3・11から3年:風化させない決意2014(2014年3月) の記事一覧に戻る

あらためての決意 現場主義に徹する(NHK 水野倫之)2014年3月

「注水が確認できない、燃料が露出か?」「また爆発した!」。あの時NHKのスタジオで、断片的にもたらされる信じ難い情報に体が震え、冷汗タラタラの状態で事故の解説をしたことを忘れることはない。

 

会見を生で聞きながら解説することが多かったが、情報は二転三転、官邸と東電の言っていることが食い違うなどめちゃくちゃな状況だった。

 

そんな中、最も役に立ったのは、それまでに数多く取材してきた原発や燃料加工工場などの原子力施設の現場の光景であり、その時聞いた担当者や専門家の話だった。特に東海村の臨界事故以降、同じような事故がまた起きた場合に備え、現場に取材に行けば「この情報はスタジオ解説で使えるな。敷地境界の放射線の値も覚えておこう」といった具合に、現場の状況を頭に焼き付けるよう心がけてきた。私は必死に原発の構造や燃料棒の形状、そして担当者から聞いた話を思い出したり、出演の合間に関係者に電話取材しながら、「ここまでは言えるか、間違っていないよな」と自問自答しながら解説を続けた。

 

あれから3年になるが、福島第一原発の事故はいまだ収束せず、不安定で今後も予断は許されない状況が続いているほか、今年は原発の再稼働もあるかもしれない。もちろん二度と事故はあってはならないが、万が一何かあったときには視聴者の役に立つような解説ができるよう、あらためて現場主義に徹し、福島第一原発はもちろん、ほかにも少しでも多くの現場を取材していかねばと、自分に言い聞かせているところである。

 

(みずの・のりゆき 解説委員)

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