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第10回(フィンランド・デンマーク)エネルギー政策(2013年1月) の記事一覧に戻る

ちょっと自慢したい二つの出会い(勅使河原 奨治)2013年1月

 

視察とは関係ないが、フィンランドを訪れた際、人に自慢したくなるような、ちょっとすてきな出会いが二つあった。

一つ目は連泊したラウマ市のホテルでの出来事。一晩目が明けて取材に出る前、部屋の清掃にくる従業員を喜ばせようと、日本から持参したキシリトールのあめを二つ、テーブルに置いていった。「for you. Japanese Candy」と書いたメモもそえた。

 

キシリトールを発見した国だからこそ、きっとこのあめが好きなんだろうという安直な考えだった。

取材を終え部屋に戻ると、テーブルの上に大量のキャンディーとボールペンが山積みになっていた。

 

未熟な自分は、何かの間違いで清掃員が置いていったのかと疑った。あめが12個、ボールペンは10本あった。

 

その山の下から「for you」と書かれたメモが出てきた。顔も合わせたことのない外国人と心が通じ合えたような気がした。

 

デンマークでも同じことをやってみた。結果は不発。短絡的だが、フィンランド人が好きになった。

 

もう一つはヘルシンキの街でのタイ人との出会い。道を聞こうと日本人っぽい女性に声を掛けたのがきっかけだ。

 

向こうが流暢な英語を話すのに対し、こちらは片言の英語でなんとかコミュニケーションを図った。

 

彼女の父親が原発関係の技術者で、父と何度かフィンランドを訪れるうちに、この国が好きになり、ヘルシンキの大学に留学することを決めたという。

 

彼女によると、タイは10年以内に原発を導入する方向で準備を進めているという。今年の夏には、父と一緒に来日する予定で、父は福島を訪れることになっているそうだ。

 

これから原発を導入しようとする国の技術者が、福島の惨状を目の当たりにして何を思うのか。彼女の父親に聞いてみたいと思った。

 

(河北新報社郡山支局)

 

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