ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。


第7回(カンボジア、タイ、ラオス)回廊が結ぶメコン流域圏(2008年2月) の記事一覧に戻る

メコン乗り合いバス(副団長:山崎 浩志)2008年2月

  サマック首相の会見が実現したのは、タクシン元首相帰国の前日。新首相は国内 政局や東南アジア情勢、成長戦略など丁寧に答えた。45分の予定が1時間半に及んだ。いろんな話があったが、やはりこの一言が耳に残ってしまった。「タイが自信をもって最も重要な経済パートナーといえるのは日本だけ」。

  東南アジアは中国や韓国などの進出企業がひしめく激戦地だ。日本の企業進出で「持ちつ持たれつ」の発展の理想型を築いたタイといえども、先行き「日本が一番」であり続けられるかわからない。
「日本企業は投資を」と多くの国のトップは言う。昔は「見出しにならないなあ」とやや失望気味にきいていたが、今きく「投資を」との言葉は「もたもたしていると乗り遅れるぞ」という警告にも思える。

  かつて韓国などからタイへ生産拠点を移した動きは、これからベトナム、カンボジアなどへの再シフトにつながっていくかもしれない。取材団が訪問した縫製業の山喜のように、タイからラオスなど周辺国に進出していくというのも次代のモデルになる。それでも「東南アジアの先進国」であるタイは産業基地であり続けるのではないか。トヨタはバンポー工場に現在10万台の生産能力を最大50万台まで増やす拡張余地を持たせているということだった。

  「大メコン経済圏」という各国を包み込む一体化が急速に進んでいる。インドシナ半島をタテヨコに縫う道路ができ、バンコクからハノイまで海路で2週間が陸路で3日に縮む。取材団もその一部をバスで走った。今はまだ埃っぽい田舎道だが、いずれは舗装が行き届き、物流インフラのかなめとな
る。この回廊を走るバスは、食べ物や生活用品、工業製品を運んでいるだけではない。タイやカンボジア、ラオスといった地域の国々自身を乗せている。けん引役の運転手(国)が変わったとしても、バスは長く順調に走るに違いない。
                                (日本記者クラブ会報2008年4月号から転載)

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