取材ノート
ベテランジャーナリストによるエッセー、日本記者クラブ主催の取材団報告などを掲載しています。
久しぶりのタイ、カンボジア 初めてのラオスで(戸川 英俊)2008年2月
10年前バンコクにて。
私「(大変失礼な話ですが・・・)タイの女性を見ると、日本の女性はきれいだなあって思うなあ」
友人「いや、化粧でかわるものでは」
2008年2月のバンコク。
すれ違う女性に次々と目を奪われる。友人の言う通り、化粧と衣装で女性が美しくなった。
10年でタイ経済は大きく発展し、バンコクは、東京にいるのと変わらないほど、物資と情報があふれている。名物のトゥクトゥクを見かけなくなった。トヨタ車を100カ国に輸出する国では、もはや過去の産物か。
6年前のカンボジア。
スピードを上げるシェムリアップのバイクタクシーの運転手は「この町に信号は1つだけ」と笑う。
08年2月、その信号が5つに増えていた。当時ほとんど見ることがなかった四輪車と関係しているのだろうか。いや、1年に1機というペースを考えると、関係ないのかもしれない。プノンペンの街に建設が進む韓国資本の42階建て高層タワー。見下ろす景色もめまぐるしく変わっていくのだろう。
初めて訪れるラオス。
なぜか懐かしい風景。
ビエンチャン郊外に工場進出している日本企業の方が嘆く。「ラオス人は自給自足で生活できるので、仕事が辛ければすぐやめる」。それは学生時代にあこがれた生
活。結局あこがれで終わって過酷な残業の合間を縫って何とかこの文章を執筆して
いる。自分が変わったことにも気づかされる。
国々を結びつける3つの経済回廊が出来ればメコン川流域国の変貌のスピードは更に加速するだろう。一層輝きを増していくアンコールワットに見守られながら。