会見リポート
2025年04月23日
16:30 〜 17:45
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「自治体消滅にあらがう」(7) 森知也・京都大学経済研究所教授
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人口減少 予測に基づく『スマートな縮小』
柿井 秀太郎 (読売新聞社地方部)
「このままでは、200年後に日本が消滅してしまう」。急激な人口減少に強い危機感を示した森知也・京都大経済研究所教授は、実証的な人口減少予測に基づく「スマートな縮小」を提案した。
国立社会保障・人口問題研究所が2023年に発表した将来推計人口(長期参考推計)によると、外国人を含む日本の総人口は2120年に現在の4割の約5000万人に減る。森氏は直近のデータも踏まえて「実際の減少ペースはもっと深刻だ」とした上で、「国・地方自治体の政策や民間による再開発と、現実のズレが大きい」と指摘。人口減の影響を定量的に分析する必要性を訴えた。
分析において森氏は、人口1万人以上など一定の条件を満たした「都市」を単位としたモデルを提示した。交通や通信の発達も加味しやすく、都道府県や市町村の単位よりも合理的に予測できるという。
このモデルによると、全国の「都市」の数は、2020年の431から70年に316、2120年に230と減少。人口は東京、名古屋、大阪、福岡をはじめとした大都市に集中すると同時に、各都市内では郊外にも広がって中心部の人口密度が下がるとされる。
予測を踏まえた100年後の悲観的未来として、森氏は「都心の高層ビルやタワーマンション(タワマン)の廃墟化」を挙げた。一方の楽観的未来として、「スマートな縮小」で住宅を低層化すれば、災害への強さや地域コミュニティーの再生が実現できるとした。地方は「豊かな自然資源を生かした収益性の高い1次産業に特化する可能性を持っている」とも話した。
質疑応答で縮小の実現可能性を問われると、神戸市が市中心部でタワマンの新築を規制する条例を制定したことに触れ、「自治体レベルで志向していくのは難しくないと思う」と述べた。
ゲスト / Guest
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森知也 / Tomoya MORI
京都大学経済研究所教授 / professor, Kyoto University Economic Institute
研究テーマ:自治体消滅にあらがう
研究会回数:7