会見リポート
2024年12月11日
10:00 〜 10:45
10階ホール
ペッテリ・オルポ・フィンランド首相 会見
会見メモ
12月9日から12日の日程で来日中のペッテリ・オルポ・フィンランド首相が登壇。
ロシア・ウクライナ戦争を受け欧州の安全保障を取り巻く環境が変わる中、フィンランドは昨年4月に北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟した。
安全保障への投資と位置付けるウクライナ支援の現状や米国の次期政権に対するスタンス、同国が進める総合安全保障モデルについて説明するとともに、2035年にカーボンニュートラルを達成することを目標とする同国のクリーンエネルギー拡大に向けた取り組みなどについて話した。
国民連合党を率いるオルポ氏は、昨年6月に首相に選出され、極右のフィン人党、スウェーデン人民党、キリスト教民主党による連立政権を築いた。今回が初の来日で会見の前日には石破茂首相と会談した。
司会 前田浩智 日本記者クラブ理事長(毎日新聞社)
通訳 池田薫(サイマル・インターナショナル)
会見リポート
ウクライナ支援は「義務」
下尾 弘樹 (時事通信社外国経済部)
オルポ首相は会見で、ロシアの安全保障上の脅威に対峙してきたフィンランドの歴史について触れ、ロシアの侵攻を受けるウクライナに対する連帯を強調した。
「ウクライナは自国のためだけに戦っているのではなく、ルールに基づいた国際秩序を守るためにも戦っている」と指摘。「フィンランドにとって、ウクライナ支援が義務であることは自明のこと。われわれができる最も重要な安保上の投資だ」と語った。
北欧のフィンランドは、ロシアと約1300キロの国境を接する。昨年4月、ロシアのウクライナ侵攻に伴う安保上の脅威の高まりを受けて北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、長年にわたる軍事的中立政策を転換した。
ロシアがフィンランドを含めたEU加盟国への態度を変化させているとして危機感をあらわにする一方、「フィンランドはロシアを恐れてはいない。(立ち向かう)準備はできている」と強調。「フィンランドはNATOの安保を消費する側でなく、提供する側だ」とも語った。
国防費増額についても言及した。18年に当時のトランプ米大統領が欧州に増額を求めた経緯に触れ、「トランプ氏は正しかった。ロシアはウクライナを攻撃した」と指摘。その上で、すべてのNATO加盟国が国防費を国内総生産(GDP)比で2%に増やすべきだと語った。
北朝鮮によるロシア派兵については、「ロシアが北朝鮮に新技術を供与する可能性もあり、アジアの安全保障上の懸念になっている」として、「日本とフィンランドの緊密な協力が必要だ」と訴えた。
ウクライナ和平の可能性については「ウクライナ国民の思いが反映されたものであるべきだ」と強調。ロシアに領土を割譲する場合でも、「決めるのはウクライナ国民であるべきだ」と語った。
ゲスト / Guest
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ペッテリ・オルポ / Petteri ORPO
フィンランド首相 / Prime Minister, Finland