会見リポート
2024年10月23日
17:30 〜 19:55
10階ホール
試写会「草原の英雄ジャロロフ~東京への道~」※監督、モデルとなったジャロロフ選手の会見もあわせて行います
会見メモ
ボクシングスーパーヘビー級で、東京五輪に続き、今夏のパリ五輪でも金メダルを獲得したウズベキスタンのバホディル・ジャロロフ選手の半生を描いたもので、日本とウズベキスタンの合作。
ジャロロフさんは身長201cm、リーチ206cmのサウスポー。リオデジャネイロ五輪で惨敗、代表の座を追放されたが、父の教えを胸に再起を成し遂げた。
上映に先立ち、映画の公開(11/8~東京・ヒューマントラスト有楽町他)を前に来日したジャロロフさんと、アククロム・イサコフ監督、出演者として加藤雅也さん、山本修夢さんが会見した。
会見リポート
金メダルへ家族愛の並走
深田 実 (東京新聞出身)
映画「草原の英雄ジャロロフ、東京への道」は題名の通り、ウズベキスタンのボクサーで東京、パリ五輪の金メダリスト、バホディル・ジャロロフさん(30)の半生を描いた作品である。試写会では未完のままの上映だったので論評はせず、ラッシュのスクリーンを見ながら思ったことを二つ述べてみる。
一つは家族のことである。ウズベキスタンの人気俳優ダダホン・オビドフさんが演じる青年ジャロロフは身長約2㍍という恵まれた体格を生かしスーパーヘビー級への道を歩き出す。負ければ、父は「息子よ。敗者とは倒れた者のことではない。立ち上がれなかった者のことをいうんだ」と厳しく諭す。母の愛は言うまでもなく優しく深い。息子は報いることにひたすら打ち込む。不屈に並走するのは家族愛というアジア的価値観である。家族より個人ではなく、その個人を家族が支える。
もう一つは国際感覚だ。ウズベキスタンは旧ソ連の一員だった。昔モスクワではウズベクから出稼ぎのタクシー運転手をよく見かけた。そのソ連の崩壊後は全方位外交に転じ、9・11テロ後にはアフガンに出撃する米軍に基地を提供した。だが東部アンディジャンで武装勢力による刑務所襲撃、反政府暴動が起きる。鎮圧部隊の発砲で市民多数の死者が出ると米欧は非難、それに反発するように草原の国はロシア、中国に接近した。G7が往時の力を失い、BRICSが伸長する中、映画ではアメリカ側が不正を働く悪役として描かれる。その辺りもまたこの国の行方を占うための見所なのかもしれない。日本・ウズベキスタン合作。加藤雅也さんとロシア語に堪能な山本修夢さんが共演する。アククロム・イサコフ監督・脚本。
ゲスト / Guest
-
草原の英雄ジャロロフ~東京への道~