2024年07月09日 13:30 〜 14:30 10階ホール
アフマド・アブルゲイト・アラブ連盟事務総長 会見

会見メモ

22の国・地域が加盟する地域協力機構「アラブ連盟」のアフマド・アブルゲイト事務総長が会見し、パレスチナ自治区ガザの情勢についての、同連盟としての見解、今後の統治の在り方などについての質問に応じた。

アブルゲイト事務総長は外務省の賓客として来日した。7月10日、11日には外務省、経産省、アラブ連盟が共催する第5回日本・アラブ経済フォーラムに出席する。

 

司会 出川展恒 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

2国家共存「唯一の解決策」

岩崎 建 (日本テレビ放送網報道局解説委員)

 アラブ連盟・アブルゲイト事務総長の来日目的は日本・アラブ経済フォーラムへの出席であったが、会見はほぼガザ情勢をはじめとするパレスチナ問題に終始した。

 去年の10月7日に始まったイスラエルとハマスの戦闘を終わらせるためアラブ連盟として何ができるのかとの問いについては、「戦いをやめるよう呼びかけ説得し続けるしかない」として、国際社会に対しても粘り強い働きかけを求めた。その上で、停戦後のガザ地区の統治については、「パレスチナ人の代表はあくまでパレスチナ自治政府(PA)だ」と述べ、ハマスではなくPAがガザ地区に戻りヨルダン川西岸と合わせて統治すべきとの考えを示した。ただしそのためには「平和維持部隊」と「復興支援」という2つの国際的な支援が不可欠だと強調した。さらにハマスに関しては個人的な考えと前置きした上で、「その振る舞いとイデオロギーを変えなければならず、PAを参考にすべきだ」と指摘した。

 一方、パレスチナ問題の解決については、アラブ連盟が2002年に採択した「アラブ平和イニシアチブ」に触れ、この提案に対してイスラエルは現在に至るまで無回答を続けていると非難した。その上で唯一の実行可能な正しい解決策は、イスラエルが占領を終わらせてパレスチナ国家との「2国家共存」を実現することだと繰り返し強調した。「2国家共存」を巡っては今年5月にスペインなどが新たにパレスチナを国家承認したが、G7各国は承認していない。アブルゲイト事務総長は「日本にも国家承認をしてほしい」と訴えた。

 会場に現れた際には「Good Morning!」と陽気に声をかけ、時折エジプト人らしくユーモアも交えながら話したアブルゲイト事務総長だが、その半面中東の困難な現実が改めて浮き彫りとなる会見だった。


ゲスト / Guest

  • アフマド・アブルゲイト / Ahmed Aboul Gheit

    アラブ連盟事務総長 / Secretary General, League of Arab States

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