2024年04月17日 14:15 〜 15:15 10階ホール
「2024 米大統領選」(5) 杉山晋輔・元駐米大使

会見メモ

 4年にわたるトランプ政権のうち2018年1月から21年1月までの3年間、駐米大使を務め、トランプ政権と密に付き合ったことで知られる。

トランプ前大統領の人柄を個人的にどのようみていたか、日米同盟の真のあり方や中国との関係などについて話すとともに、トランプ第2期政権が誕生した場合への備えや日米同盟に関する質問に応じた。

 

司会 大内佐紀 日本記者クラブ企画委員(読売新聞社)


会見リポート

「もしトラ」にどう備えるか

大内 佐紀 (シリーズ担当企画委員 読売新聞社調査研究本部)

 ドナルド・トランプ氏が11月の米大統領選で返り咲く、「もしトラ」にどう備えるか。いま日本外交の最重要課題の一つだろう。

 杉山氏は2018年から3年間、駐米大使としてトランプ政権高官と密に付き合った。トランプ氏本人には「人の気をそらさない、ある種のカリスマを感じた」としつつ、「何をするかわからない怖さも間違いなくある」と指摘する。

 ホワイトハウスの主が誰であろうと良好な関係を築かなければならないのが、米国を唯一の同盟国とする日本にとっての必然だ。当然、「もしトラ」に対し、万全の態勢をとらねばならない。「あの人柄とスタイルに、どれだけ胸襟を開き、飛び込んでいけるか」というのが第一の関門で、トランプ氏が最初に当選した時よりも、そのハードルは高くなっているとみる。

 4月の岸田首相訪米時、日米同盟は米国と肩を並べて共にある「グローバル・パートナー」にバージョンアップされた。杉山氏は同盟のポイントを「守るべき国民や国土、自由や民主主義といったイデオロギーのため、共に戦うこと」と定義。その上で、「同盟の本質に相反しない範囲で、異なる政策を取ることも同盟をより豊かにする要素だ」と強調した。

 その試金石は対中政策になるだろう。冷戦時代のソ連封じ込めと状況は異なり、中国は封じ込め(containment)や譲歩(appeasement)ではなく、関与(engagement)の対象だという。

 対中強硬策を有権者へのセールスポイントとし、自らを「取引(deal)の達人」とみなすトランプ氏に、どうこのことを説得するのか。杉山氏は、挑戦(challenge)と脅威(threat)の違いを認識してもらうことが鍵になると語った。


ゲスト / Guest

  • 杉山晋輔 / Shinsuke SUGIYAMA

    元駐米大使 / former ambassador to USA

研究テーマ:2024 米大統領選

研究会回数:5

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