2024年03月14日 15:30 〜 17:00 9階会見場
「2024 米大統領選」(2) グレン・S・フクシマ米先端政策研究所上席研究員

会見メモ

米通商代表部(USTR)で日本・中国担当の代表補代理を務めたグレン・S・フクシマさんが登壇。選挙結果に影響する共和党、民主党の両陣営内の課題、争点などから選挙戦を分析した。

トランプ前大統領については「4つの刑事事件の結果で選挙戦の行方が左右される」。

一方のバイデン大統領は「そもそも選挙に強い政治家ではない。イスラエル・ハマス戦争をめぐる若者のバイデン離れが進む。イスラエル・ハマスの戦争がどれだけ続くかも影響」「第三政党から出馬すれば、バイデンから票を取る」。

 

司会 藤井彰夫 日本記者クラブ企画委員長(日本経済新聞社)


会見リポート

バイデン・トランプ/老老対決の行方

鈴木 美勝 (専門誌「外交」前編集長)

 分断と閉塞感の中で迎えた2024米大統領選。日本では「もしトラ」「ほぼトラ」「まじトラ」の流行語が飛び交う中、現大統領バイデン氏(民主党)に対峙するトランプ氏(共和党)優位の報道が際立つが、2人の弱点を指摘しつつ、ワシントン・インサイダーならではの的確な分析と冷静な見方を披露した。

 両氏とも高齢。「将来ビジョンがはっきりしない」ため、この老・老対決には「有権者の6割から7割が不満を感じている」。特にトランプ氏の場合は、四つの刑事裁判を抱える。元不倫相手への口止め料疑惑、米連邦議会乱入事件に絡んで2020大統領選の結果を覆そうとした罪等々。どのような影響を及ぼすか。7月共和党大会で党内をまとめ切れるか。本選挙で無党派票を獲得できるのか。氏は裁判日程の先延ばしを狙っていると言う。

 バイデン氏はどうか。「米経済が好調。成長率は高く、失業率は低く、株価も高いのになぜ支持率がこれほど低いのか」。いわく「ただ高齢だからとか、言い間違いが多いからだとか」という単純な理由ではない。高齢に加えて白人、改革派とは程遠いワシントニアン。大統領選に過去2度出馬して早々に撤退、「そもそも選挙に強い政治家ではない」。3度目の出馬―2020大統領選で幸運にもチャンスをつかんだ。初戦から負け続けて4戦目、黒人クライバーン下院議員の支持表明を機にサウスカロライナ州予備選で風をつかみ、直後のスーパーチューズデーをも制した。

 しかし、肝心の大票田カリフォルニア州を落とした。勝利した最左派サンダース氏では「トランプに勝てない」と憂慮した中道3候補が撤退してバイデン氏に一本化。氏を党指名候補に押し上げた。対トランプ戦なら「自分以外にない」と自負する氏の再選を目指す決意は固い。が、イスラエル・ハマス戦争をめぐる若者のバイデン離れ、第三政党からの出馬があれば票を食われる。懸念は尽きない。


ゲスト / Guest

  • グレン・S・フクシマ / Glen S. FUKUSHIMA

    米先端政策研究所上席研究員 / Senior Fellow, The Center for American Progress

研究テーマ:2024 米大統領選

研究会回数:2

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