2024年03月25日 13:30 〜 15:00 10階ホール
「地方自治のいま」(7) 末宗徹郎・地域総合整備財団理事長

会見メモ

旧自治省(現在の総務省)出身。総務省財政局財政課長、内閣府地方創生推進室次長、復興庁事務次官などを経て、2022年から地域総合整備財団理事長を務める。

人口減少が進む中、地方がどうやって都市としての機能を維持していくのか、地方のあり方などについて話した。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信社)


会見リポート

人口減少で「地域づくり」の視点を

相京 真伍 (時事通信社内政部)

 2014年5月に日本創成会議が「消滅可能性都市」を示したことを契機に、政府の地方創生の取り組みがスタートして間もなく10年。しかし人口減少には歯止めが掛かっておらず、出生率の低下も続く。岸田政権は「異次元の少子化対策」に取り組むが、地方行財政に長く携わり、安倍政権下で地方創生施策を事務方として支えた末宗氏は、「(近年は)人口減少についての危機意識が薄れている」と懸念を表明。まず国民との間で人口減少に対する危機意識を共有すべきと強調し、自然減対策だけでなく「持続可能な地域づくり」をキーワードとした社会減対策の視点も重視する必要性を訴えた。

 末宗氏は会見で、人口減少の進行により、社会保障や地域経済社会の維持が困難になると指摘。少子化対策の重要性を認めた上で、「人口減少がどういう影響をもたらすのか、国民や自治体との間で共有することが大事だ」と語った。加えて、都道府県別出生率では東京都が最も低いことに着目。大都市と比べ子育て環境が良好な地方では相対的に出生率が高いとし、「持続可能な地域づくり」を進める意義を説いた。

 その上で、持続可能な地域づくりを進めるための「積極戦略」として、自然や文化といったそれぞれの地域資源を生かしつつ、雇用創出や移住者・関係人口の拡大などにつなげている事例を紹介した。並行して、公共施設管理の効率化やコンパクトシティの推進といった「効率化戦略」を進める必要性にも言及した。

 地方創生の今後に関しては、「国がもっと大胆な政策にも取り組む必要がある」と提言。地方への企業移転を後押しする税制措置の強化や地域づくりビジョン策定などを例に挙げ、「10年経過する中で、効果がある施策はもっと伸ばし、効果がそれほどない施策は方針転換する『めりはり付け』により、粘り強く進める必要がある」との考えを示した。


ゲスト / Guest

  • 末宗徹郎 / Tetsuro SUEMUNE

    地域総合整備財団(ふるさと財団)理事長 / Chairman, Japan Foundation For Regional Vitalization

研究テーマ:地方自治のいま

研究会回数:7

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