会見リポート
2024年01月22日
16:30 〜 17:30
10階ホール
メリッサ・パーク核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長 会見
会見メモ
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメリッサ・パーク事務局長(写真1枚目右)が、核兵器禁止条約の発効から3年の日に会見に臨み、禁止条約やICANの展望、日本への期待などについて話した。
パーク事務局長は、17日に来日。広島、長崎を訪問した。
会見ではICAN国際運営委員会兼会長の川崎哲さん(写真1枚目左)も同席し、質疑に応じた。
司会 杉田弘毅 日本記者クラブ企画委員(共同通信)
通訳 西村好美 サイマル・インターナショナル
会見リポート
核抑止論「欠陥がある」
隅 俊之 (毎日新聞社外信部副部長)
「私が学んだのは、単に核兵器のリスクや核兵器禁止条約に入るべきなのかどうかを議論するのではなく、被爆者の物語を語り続けることの重要性だ」。「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の新たな事務局長として1月に来日し、広島と長崎を訪れて被爆者と面会した。
被爆地で思い出したのは、国連勤務当時にパレスチナ自治区ガザ地区で仕事をしていた時のことだったという。ある時、ガザ地区で広島と長崎を追悼する式典が行われた。パレスチナの子どもたちが小舟にロウソクを立て、水に浮かべて追悼していた。何度も爆撃を受けているガザ地区の子どもたちが、異なる時代に原爆の下にいた子どもたちを思っていた。
ICANの尽力により国連で成立した核兵器禁止条約は、1月22日で発効から3年を迎えた。昨年11、12月の第2回締約国会議には、条約に加盟していないパーク氏の母国・オーストラリアなど、30カ国以上がオブザーバー参加した。だが、日本は今回も参加しなかった。「リーダーシップとは最初の一歩を踏み出すことではないのか」。唯一の戦争被爆国として核廃絶を目指す日本にそう問いかけ、改めて参加を求めた。
第2回締約国会議で採択された政治宣言の特徴の一つは、核保有国や「核の傘」の下にある国々が主張する核抑止論の正当性を強く否定したことだ。会見でパーク氏も「核抑止論は、敵も含めた全ての主体が100%、合理的で予測可能な行動をとることが前提になっている」と述べ、「欠陥がある」と訴えた。
ウクライナに侵攻したロシアのプーチン大統領は、核兵器の使用を示唆した。恐ろしいのは、そうした核の威嚇に私たちが慣れてきてしまっていることだ。事故や誤解によって核兵器が使われる恐れは今も目の前にある。「私たちは単に運が良かっただけだ」。その言葉の重みは、ますます増しているように思う。
ゲスト / Guest
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メリッサ・パーク / Melissa Parke
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)事務局長 / Executive Director, The International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN)
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川崎哲 / KAWASAKI Akira
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員兼会長 / member of the International Steering Group, The International Campaign to Abolish Nuclear Weapons (ICAN)member of the ICAN