会見リポート
2024年01月17日
13:30 〜 15:00
10階ホール
「2024年経済見通し」(2) 中空麻奈・BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長
会見メモ
BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈さんが、グローバルクレジット市場の現状と見通しについて話した。
司会 播摩卓士 日本記者クラブ企画委員(TBS)
会見リポート
「プチクラッシュ」に備えを
鞍馬 進之介 (読売新聞社経済部)
「株価が株価を上げているバブル状態が始まっているのではないか」
BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長の中空麻奈氏は、現在の国内株式市場の状況について警鐘を鳴らした。2024年は、世界各国の金融政策変更などの不確実性についても指摘し、バブルが少しずつはじける「プチクラッシュ」に備える必要性を強調した。
昨年末から今年にかけては、政治資金問題に加え、米FRB(連邦準備制度理事会)の利上げ見送りや、元日の能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故など、金融市場に影響を与える可能性がある出来事が国内外で相次いだ。台湾総統選が終わり、今後もロシア、米国などで大統領選挙が行われることも24年の特徴だ。
ただ、中空氏が特に注目するのは、3月か4月と予想する日本銀行による金融政策の変更と、9月末の自民党総裁選後とみる解散総選挙の日程だという。株式市場の流れを作っていく大きな出来事だが不確実性が高く、高揚感がないまま日経平均株価が最高値を更新する現在の市場が下落に転じる可能性を指摘。「向かうところ敵なし、全然心配ありませんというマーケットでは全然ないのではないか」との危機感を共有した。
世界に目を向けても、米国ではローンでデフォルト(債務不履行)率が上がっているとして経済状態の悪化が懸念されることや、債務比率による格付けの低下などの懸念を示した。欧州も、米国を追いかける形で景況感が悪化するとの見通しや、各国の格下げが相次ぐ可能性について言及した。一方で、中国経済の後退による金融市場への影響は限定的だとの見方を示した。
今年は、脱炭素社会の実現に向けて日本政府の新たな国債「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」が発行される。中空氏は、「外国人投資家がどれだけ持ってくれるかに期待したい」と述べた。
ゲスト / Guest
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中空麻奈 / Mana NAKAZORA
BNPパリバ証券グローバルマーケット統括本部副会長
研究テーマ:2024年経済見通し
研究会回数:2