2023年09月29日 16:00 〜 17:30 10階ホール
「地方自治のいま」(3) 男女共同参画アドバイザー 中村和子さん

会見メモ

兵庫県の加西市などでリーダー養成塾を開催している男女共同参画アドバイザーの中村和子さん(写真左から1枚目)とその養成塾の塾生で今年の5月に加西市議会議員に初当選した橋本真由美さんが登壇。

中村さんは、地方議会で女性議員を増やすためにどのような活動を、どんな思いで展開してきたのかなどについて語った。

 

司会 澤田信孝 日本記者クラブ企画委員(北海道新聞)


会見リポート

多様な人が認められる社会に

小西 博美 (神戸新聞社東京支社編集部長)

 今春の統一地方選で、兵庫県小野市は定員16人のうち7人の女性議員が誕生し、全国から注目を集めた。仕掛け人は、県内市町で男女共同参画推進計画に関わってきた、男女共同参画アドバイザーの中村さんだ。

 始まりは2008年、同市の蓬萊(ほうらい)務市長に「女性議員ゼロを何とかできるか」と言われたことだった。男女共同参画担当課長として、ウィメンズ・チャレンジ塾を企画。女性リーダーに学ぶ講座やネットワークづくり、フォーラムの企画・運営も手がけた。「無意識のうちにとらわれている固定的な性別役割分担から解き放たれるのが大事」と説く。3年後の市議選では女性6人が立候補して3人が当選。12年で女性市議は7人と女性比率は43・8%に伸びた。

 県内にも驚くほど保守的な地域は残る。女性の本音を聞くと「嫁に来たら外では目立たず、おとなしくして」と言われるという。「女性を取り巻く環境は厳しく、自分で決められなかったりコントロールできなかったりするのは、個人ではなく、社会の問題だ」と訴える。これは決して兵庫だけの問題ではないだろう。

 ただ、人づくりはしても議員になるのは別次元で、パートナーの反対などハードルは高い。小野市の場合「核となる人が『私が出る』と決断し、空気が醸成されていった。女性が立候補することで、議会の空気や施策、投票率も変わる」と強調する。孤立させないように、自治体の枠を超えたネットワークづくりにも力を入れる。ただ、「男女が半々になればいいのではなく、外国人や障害のある人ら多様な人が認められる社会」が目標だ。

 5月に初当選した子育て中の加西市議、橋本さんは「貧困や不登校などいろいろな経験をした私だからこそ、声を上げたいと立候補した。政治に関心のない人も生活に直結していることに気付いて」と話す。女性による静かな変革が広がっている。

 


ゲスト / Guest

  • 中村和子

    男女共同参画アドバイザー

  • 橋本真由美

    加西市議会議員

研究テーマ:地方自治のいま

研究会回数:3

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