2023年06月05日 15:00 〜 16:30 10階ホール
「マンション政策の行方」

会見メモ

法務省法制審議会と国交省の「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」で委員を務めている鎌野邦樹・早稲田大学大学院教授(写真2枚目)と、空き地・空き家問題に詳しい五十嵐敬喜・法政大学名誉教授(写真3枚目)、国内外で数多くの集合住宅を手掛けている建築家の山本理顕さん(写真4枚目)が登壇し、今後のマンション管理の在り方や法改正の必要性、同じマンションに住む人々のコミュニティーの重要性などを訴えた。

 

司会 小林伸年 日本記者クラブ企画委員(時事通信)


会見リポート

「2つの老い」迎えたマンション/住民の交流がカギ

浅沼 直樹 (日本経済新聞社調査報道グループ・都市問題エディター)

 鎌野邦樹・早稲田大学大学院教授は、2021年末の約686万戸のマンションのうち、1981年以前の旧耐震基準は約116万戸あり、世帯主は60~70代が多いという「2つの老い」を迎えているのに加え、人口減少とマンションの新規供給という問題に直面していると説明。近い将来、管理不全のマンションが放置される懸念があり、法務省法制審議会の区分所有法改正や国土交通省のマンション政策の検討は有意義であるとした。

 建て替えの実績は2022年4月で270件にとどまる。鎌野教授は「余剰容積は少なく、費用負担が大きいなかで建て替えは非常に難しい」とし、「区分所有者が建物・敷地の長寿命化を図り、最終的には売却して解消するしかない」と述べた。合意形成に向けて「一番要になるのは(住民が)顔見知りになり、自分達のこととして考えることだ」とまとめた。

 建築家の山本理顕氏は「100年住宅」の実現には多額の修繕積立金が必要となることから、「住民自身が十分な経済活動ができる仕組みが今後のマンションには非常に重要。建築家からみれば非常に簡単なことだ」と提案。東京都江東区の「東雲キャナルコート」など住民による商売が可能なマンションの事例を紹介した。

 五十嵐敬喜・法政大学名誉教授は「30年間、土地問題に関心を持っているが、当初はバブルをどう抑えるかだったが、今は放置されるという正反対の現象が起きている」と指摘。「マンションがいずれ『巨大産業廃棄物』になるという実態は改善できそうにない」との悲観的な見方を示した。背景には日本の絶対的な土地所有権があり、「マンションも空き家も財産としかみておらず、生活部分がまったく法律に反映されていない。その結果、誰も手に負えなくなっている」と話した。解決にはマンション内外の住民の交流、国や自治体の関与、修繕や建て替えを見据えた人材の育成が必要との認識を示した。


ゲスト / Guest

  • 鎌野邦樹 / Kuniki Kamano

    早稲田大学大学院教授 / Professor of Waseda University Graduate School

  • 五十嵐敬喜 / Takayoshi Igarashi

    法政大学名誉教授 / Honorary Professor of Hosei University

  • 山本理顕 / Riken Yamamoto

    建築家、東京芸術大学客員教授 / Architect,Visiting Professor of Tokyo University of the Arts

研究テーマ:マンション政策の行方

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