2023年01月30日 13:00 〜 14:00 10階ホール
元自衛官・五ノ井里奈さん 会見

会見メモ

陸上自衛隊内での性暴力被害を告発した五ノ井里奈さんが、国と加害者の元隊員5人を相手取り、損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に起こした。提訴後、会見に臨み、提訴に至った経緯や、再発防止、ハラスメント撲滅への思いなどについて話した。

 

司会 伊藤雅之 日本記者クラブ企画委員(NHK)


会見リポート

女性隊員が安心して勤務できる環境を

明珍 美紀 (毎日新聞社編集編成局)

 「正義感を持った組織になってほしい」

 会見で五ノ井里奈さん(23)は繰り返し、こう訴えた。

 「我が国の平和、人々の生命と財産を守る」が信条であるはずの陸上自衛隊の中で起きた性暴力。しかも、被害を申告したのに事実にふたをされた。職場、教育現場など「性暴力は、どこでもおこりうる」と言われる。自衛隊という組織も例外ではない。

 自衛隊に2020年4月に入隊。配属先の郡山駐屯地(福島県)で、複数の隊員から「日常的にセクシュアルハラスメントを受けていた」という。中隊長(当時)に被害を申し出て、相談窓口にも連絡したが、内部調査で虚偽の証言をされるなど、被害は事実上、隠ぺいされた。体調を崩し、休職を経て昨年6月に退職。動画投稿サイトで被害を告白した。

 被害申告を認めた防衛省は昨年末、加害側の計5人を懲戒免職にするなど処分を発表した。この5人は、「同じ部隊の先輩だった」といい、別の女性隊員も被害に遭っていたことが分かった。

 裁判で争うことは、精神的な痛みを伴う。それでもあえて、国と加害側の男性らを相手取り、横浜地裁に民事訴訟を起こした。その理由の一つに、示談交渉における相手側の態度に不信感を抱いたことが挙げられる。

 懲戒免職となった5人のうち3人は強制わいせつ容疑で書類送検され、福島地検郡山支部は不起訴とした。だが、郡山検察審査会が「不起訴不当」と議決し、再捜査に。示談を申し入れたのはこの3人。五ノ井さんは、加害行為に対する責任を問いただしたが、相手側弁護士から「個人に責任があるかは疑問」などと返答され、以後、交渉は進まなくなった。五ノ井さんは「中途半端にするのではなく、真実を明らかにすることが再発防止につながる」と提訴に踏み切った胸の内を話した。

 今回の会見では、「メディアによる二次加害ではないか」と思わざるを得ない場面があった。質問者が、被害の内容をかなり具体的に聞いたのだ。五ノ井さんは苦しげな表情を見せ、同席した弁護士が引き取った。この件に関しては各紙、報道しており、受けた被害についても触れている。当事者に向き合うとき、質問の仕方、内容によっては、フラッシュバック、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を招きかねないことを、記者、ジャーナリストは肝に銘じておかなければいけない。

 「いま、いる女性隊員が守られるよう行動を起こした」

 五ノ井さんの言葉を私自身、重く受け止めている。


ゲスト / Guest

  • 五ノ井里奈

    元自衛官

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